人間の食べ物には猫に与えてはいけない食品があり、その中にチョコレートも入っています。
チョコレートには猫が食べると中毒症状を起こす成分が含まれており、口にすると最悪の場合は死に至る恐れがあります。
寒くなると甘いものが恋しくなり、冬季限定の口どけがいいチョコレートを食べる機会も増えるのでは?
万が一猫がチョコレートを食べてしまったら、どんな症状が出るのか、どう対処をしたらいいのか、を飼い主は知っておくことが必要です。
もくじ
猫にチョコレートがダメな理由と中毒症状
チョコレートに含まれる危険な成分について
猫が中毒症状を起こす可能性がある成分は、チョコレートに含まれる「テオブロミン」という成分です。
テオブロミンはチョコレートの主原料であるカカオに由来した苦み成分で、カフェインと同じ構造をしており、脳の覚醒や神経を刺激するなどの効果を持っています。
あなたもココアを飲むとホッとする気持ちになったことがあるかもしれませんが、これはココアに含まれる「テオブロミン」の作用によるもので、人間にとってはリラックス効果や集中力を高める効果があり、適量の摂取は体に良いものです。
ですが、人間の場合は、肝臓でテオブロミンを分解する十分な代謝能力があるため問題ないのに対し、猫の場合は、その代謝速度が非常に遅く、テオブロミンを一応分解はできても長く時間がかかるため、体内に成分が蓄積されていきます。
この蓄積されたテオブロミンの成分が中毒症状を引き起こすのです。
また、猫はテオブロミンに対する感受性も高いために、体に悪影響を受けやすくなっています。
テオブロミンはカフェインとよく似ていて、テオブロミンを感じ取るのに猫と人間では差があります。
人によってカフェインがよく効く人もいれば効かない人もいるように、猫は人間よりもテオブロミンの作用に強く反応してしまうのです。
つまり、猫がチョコレートを食べると中毒症状を起こすのは、テオブロミンを分解する能力の弱さと感受性の強さが原因といえます。
猫のチョコレートによる中毒症状とは?
チョコレートに含まれるテオブロミンによって中毒を起こした猫は、このような症状が現れます。
- 下痢
- 嘔吐
- 脱水症状
- 喘ぎ
- 興奮
- 痙攣
- 昏睡
- 痙攣
- 不整脈
- 頻尿
- 尿失禁
猫が下痢や嘔吐をしてもしばらくは様子を見て、他に症状が出たら動物病院に連れて行くという人も多いでしょう。
猫は毛づくろいをしているうちに抜け毛を飲み込んでしまいます。
体の中にたまった毛玉を猫は草などを食べて吐き出すため、猫が吐くことに慣れてしまっている飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そのため、下痢や嘔吐がチョコレートによる中毒症状とは気付かない場合もあります。
チョコレートによる中毒症状の現れ方には個体差があり、症状が出るまでに数時間から1日と時間にも幅が出ます。
空腹状態で口にした時にはもっと早くから症状が出たり、慢性化すると数日間症状が続く場合もあります。
チョコレートによる中毒症状は、症状がひどく悪化すると死に至る恐ろしいものです。
チョコレートを誤食した可能性があるならば、症状の現れ方に関わらず動物病院で診察を受けてください。
匂いも嗅ぐのもダメ?
猫にとってチョコレートの匂いを嗅がせるのもあまりよくありません。
食べるほどではありませんが、チョコレートの匂いも脳神経を興奮させます。
チョコレートにはコーヒーほどではありませんがカフェインも含まれており、カフェインも猫にとって中毒症状を引き起こす危険な成分です。
チョコレートのテオブロミンやカフェインといった成分によって、またたびを嗅いだ時のように興奮してしまいますので、チョコレートの匂いを嗅がせ過ぎないように気を付けましょう。
チョコレートの致死量について
猫がチョコレートを食べた場合の致死量は体重によって異なります。
体重1kgあたりにつきテオブロミン250〜500mg程度を摂取すると致死量に達し、中毒症状は90〜100mgほどで出始めるといわれています。
もし仮に、あなたの猫ちゃんが4kgであれば、テオブロミンを1000~2000mg摂取すると致死量になるということです。
市販されている板チョコは1枚約50gなので、カカオ含有量30%のミルクチョコレートの場合、板チョコ1枚につきテオブロミンは75~120mg含まれており、板チョコ16枚分を食べると致死量となる計算になります。
ですが、カカオ含有量70%のダークチョコレートの場合は、板チョコ1枚につきテオブロミンは約400mg含まれており、5枚食べただけで致死量に達してしまいます。
テオブロミンの含有量はチョコレートによって違いがあり、カカオの含有量が多いほどテオブロミンの含有量も上がり、少しの量を食べただけで猫の命に危険が及んでしまいます。
テオブロミンの含有量を記載している市販のチョコレートはありませんが、チョコレートの色が濃く苦みが強いものはカカオが多く含まれていると考えるとわかりやすいでしょう。
致死量に達していないからといってチョコレートを少しでも与えることは避けてください。
数字を見る限り一度に大量に食べなければ致死量にならないため、問題ないと感じるかもしれませんが、食べた量がほんの少しでも体調を崩したり、中毒症状が出る猫もいますので、致死量の数字はあくまでも参考として考えてください。
猫がチョコレートを食べた時の対処法
もしも目の前で猫がチョコレートを食べているのを目撃したならば、すぐに食べるのをやめさせて口の中に残っている場合には指でできる限り取り出します。
すでに飲み込んでしまっている場合には、30分~1時間以内に吐き出させることで症状が重篤化せずに済むことがありますが、まずは誤食を発見したらすぐに動物病院へ連れて行き、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
チョコレートを少しだけ舐めただけでも中毒症状が出る可能性がありますので、病院に連れて行くほどではないと思っても、様子を確認して不安があるならば、念のために電話をかけて獣医師に相談してください。
猫が誤飲した場合に家でできる応急処置法として、指や綿棒を使って舌を刺激して吐かせる、塩水を飲ませる、オキシドールを薄めて飲ませるなどの対処法がありますが、これらの応急処置を素人判断で行ってしまうと、中毒症状よりもひどい害を猫の体に与える可能性があります。
上記の方法を試すよりも少しでも早く病院へ連れて行くか、電話をかけて獣医師に指示を仰ぐのが最も安心できる対処法です。
また、正しい治療をしてもらうために、受診する際にはいつ、どれくらいの量を食べたのか、チョコレートの種類やどんな症状が出たか、などをできる限り正確に伝えましょう。
チョコレートを食べさせないために
猫の届く場所に置かない
チョコレートの保管場所は猫が届かない場所を選ぶようにしましょう。
猫は高い所や狭い所、どんな場所にも入っていけるので、猫が届かない場所を見つけるのは大変かもしれません。
ですが、ふたがしっかりと閉まる開けにくい容器に入れて、さらに冷蔵庫に入れておけば、さすがに猫にも匂いは届きませんよね。
家の中にチョコレートを持ち込まないようにするのが最善の策ではありますが、あまり現実的とはいえないので、猫が誤食しないように保管場所を工夫しましょう。
キッチンに入れないようにする
お菓子作りをする場合にはココアパウダーなど、カカオ成分の高い材料を使うこともあるのではないでしょうか?
チョコレートを調理した器具はすぐに洗うように気を付けたとしても、間違えて材料をこぼした時などは気が付かずにキッチンの床などに残っている可能性もあります。
食材を保管する場所でもあるキッチンは、チョコレート以外にも猫が食べると危険な物がたくさんあります。
キッチンの出入り口にフェンスなどを取り付けて、猫が入らないように日頃から気を付けておくと誤食も防げるでしょう。
飼い主が食べていても与えない
猫にチョコレートを食べさせないためには、猫の目の前からチョコレートを排除することです。
猫が一緒にいる時には人間もチョコレートを食べるのを我慢しましょう。
飼い主が食べているのを欲しがる可能性もありますし、気付かずにこぼしたかけらを食べてしまうことも考えられます。
猫は本来ならばチョコレートに興味を示しませんが、チョコレートが食べ物だと認識すると食べたがることもあります。
まとめ
猫にとってチョコレートは危険な食べ物だと知っておくのは、飼い主として猫の命を守るためにとても必要なことです。
チョコレートが好きな愛猫家さんにはつらいことかもしれませんが、猫の近くでチョコレートを食べるのは我慢しましょう。
チョコレートの包み紙も安易にゴミ箱に捨てないようにしてくださいね。