飼い猫に与えるのは猫専用のキャットフードやおやつだけと決めている飼い主さんも多いと思いますが、人間が食べているものに興味を持つ猫はたくさんいます。
ご飯のおともとして好まれる海苔ですが、食べていると横から”ちょうだい!”とせがまれたりすることも・・。
そんな時、あげたいけれど本当に猫に海苔を与えても問題ないのかと心配に思うこともあるのではないでしょうか?
この記事では、猫はなぜ海苔が好きなのか、海苔が猫の健康に与える影響などを紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
猫が海苔を好んで食べる?海苔が好きな理由は?
飼い主が海苔を取り出しただけで飛んできて”早くちょうだい~”とせがむ猫もいれば、まったく興味を示さない猫もいて、猫が海苔を食べると聞いて意外に思う飼い主さんもいるようです。
たしかに、肉食動物である猫が海藻である「海苔」を好むというのはいささか不思議な気もしますよね。
猫が海苔を好む理由は、正確にははっきりしたことはわかっていませんが、考えられる理由を考察してみましょう。
磯の香りがおいしそう
海苔が発する磯の香りが食欲をそそり、食べてみたい気にさせるのかもしれません。
猫は人間よりも視力が悪いためその代わりに嗅覚が優れており、食べ物を選ぶ際には見た目よりもにおいを優先します。
海苔が好きな猫は海苔の香りを”おいしそう”に感じているといえるでしょう。
パリパリとした食感がたまらない
好みのにおいを発する独特の食感の海苔を食べてみて、くせになってしまったのかもしれませんね。
海苔といえばパリパリとした食感が特徴的な食べ物であり、猫からすればいつも食べているどの餌とも違う食感が味わえるといえます。
猫はにおいをかいで食べ物を選び、口に入れて触覚でもって大きさや形、食感を判断します。
湿気った海苔は食べないという猫もおり、食べにくそうにしていながらも海苔のパリパリの食感を楽しんでいるのでしょうね。
しょっぱさがいい!
猫にも味の好みはあり、人間の食べ物は喜んで食べる猫もいますが、海藻のしょっぱさを感じる海苔のほんのりとた塩味が猫にはちょうどいい、ということも考えられます。
キャットフードは味付けがされておらず、薄味というよりも味がありません。
したがって、猫はいつも味がしないものを食べているといえるので、この塩味がいつものご飯にはない魅力があるのかもしれません。
猫が食べ物を選ぶ時に優先するのはにおいであり、味覚では「食べても危険じゃないか」を判断していますが、塩味は「危険ではない」と認識されているようです。
猫は嗜好性の強い動物
猫は食べ物の嗜好性(好き嫌い)の強い動物であり、食べムラや食べ飽きが多いペットとして飼い主さんを困らせることが多く見られます。
あなたも、飼い猫が今まで食べていたフードに急に見向きもしなくなるなど、一度は猫の食事情に頭を悩ませたことがあるかもしれませんね。
猫の嗜好性は、品種としての特性など先天的な要因ももちろんありますが、幼猫期に口にしたことがあり特に「これはうまいにゃー」と思った食べ物は、比較的成猫になっても美味しいものとして認識され続けるようです。
したがって、海苔が好きな猫とそうでない猫がいるのは、離乳後に食べたかどうかによるところも大きく、個体差があって当然といえるでしょう。
猫に海苔を与えても大丈夫なのか?
海苔にはカルシウムや食物繊維、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
人間とっては健康食品である海苔には、猫の健康を維持するためにもメリットとなる栄養素が含まれていますが、注意すべき栄養素があることも知っておく必要があります。
海苔に含まれる注意すべき栄養素
マグネシウム
猫はマグネシウムを摂取し過ぎると尿路結石症になりやすいため、猫に与える食べ物はマグネシウムの含有量に注意が必要です。
尿路結石症とは腎臓や尿管、膀胱や尿道などに結石ができる病気で、オス猫は特に尿道が長くて狭いためにかかりやすいといわれています。
マグネシウムは体内にある酵素の働きを助ける役割や猫の骨や細胞を作る材料であり、神経の伝達に作用するなど、猫の健康を維持するために必要不可欠な成分でもあります。
マグネシウムが欠乏すると神経や骨、関節や血圧などに障害が出る恐れが出てきます。
ナトリウム
ナトリウムを過剰に摂取すると腎臓に負担がかかってしまい、腎不全などの腎臓の病気に罹ってしまう恐れや、心臓の疾患や高血圧などの人間でいうところの生活習慣病の要因になりかねません。
猫は腎臓に負担がかかりやすい動物で、猫に与える餌はナトリウムの含有量にも注意しましょう。
ナトリウムは筋肉や神経を正常に保つ働きや体内の水分バランスを調整する働きを持っており、不足すると飲水量の減少や尿量の増加などの症状が出る場合があります。
リン
リンを過剰に摂取するとカルシウムが大量に消費されてしまいます。
余ったリンは尿として体外に排出されますが、マグネシウムと結合して尿路結石症になる恐れがあります。
リンが体内に蓄積されると腎臓にダメージを与える恐れもあるため、注意が必要です。
リンはカルシウムは結合すると骨や歯を作る「リン酸カルシウム」になり、他にも脳や神経、筋肉の機能を保って猫の健康を維持するために重要な働きをします。
リンが不足すると骨軟化症や歯槽膿漏、発育不全などの症状が出たり、特に成長期には骨の形成に影響するため、リンはカルシウムとバランスよく摂取することが大切です。
尿路結石や腎不全の猫には
尿路結石や腎不全の症状が悪化する恐れがありますので、尿路結石や腎不全の猫には海苔を与えないようにしましょう。
尿路結石や腎不全にかかっている猫は腎臓に負担を掛けないように、キャットフードもマグネシウムやナトリウムの量が制限されている腎臓サポート用の療法食を与えるように獣医師から指示を受けていることでしょう。
療法食を与えているのに海苔を食べさせてしまっては意味がありませんので、くれぐれも注意してください。
海苔を与えてもいい量はどのぐらい?
マグネシウムの量
猫に海苔を与える場合、マグネシウムの含有量から考えても週に2回ほど海苔を与えても問題はないでしょう。
市販のキャットフードにもマグネシウムは100gあたり70~90mg含まれており、海苔1枚あたりに含まれるマグネシウムの量は約9mgです。
キャットフード100gは成猫に与える食事量の一日分程度にあたり、キャットフードから摂取しているマグネシウム量は0.09%程度です。
猫に与えて良いマグネシウムの量はAAFCO(米国飼料検査官協会)が定めている理想の摂取量の基準は、このように子猫と成猫で違いがあります。
- 子猫:0.08%以上
- 成猫:0.04%以上
したがって、一日1枚の海苔をあげたとしても、食事量の10分の1程度にしかなりません。
ナトリウムの量
ナトリウムの含有量から考えると、猫に海苔を与えたからといって腎臓に影響があるとは考えられにくいといえます。
市販のキャットフードにはナトリウムが100gあたり200~300mg含まれており、海苔に含まれているナトリウム量は1枚あたり約16mgです。
猫にとって理想的なナトリウムの摂取量は0.2~0.35%と言われており、海苔のナトリウム含有量は猫にとって過剰なものではありません。
リンの量から考慮
海苔に含まれるリンの量から考えて、猫に海苔を与えても健康に問題が出る量は含まれていないと考えられます。
海苔に含まれるリンの量は1枚あたり20mg程度であり、市販のキャットフードには100gあたり300~500mgのリンが含まれています。
猫にとって理想的なリンの摂取量は0.5%と言われており、海苔のリンの含有量はキャットフードと比べても多くありません。
海苔を与える際の注意点
以上より、猫に海苔を与える際の適量は、1日あたり1枚(3g)程度ということになります。
ですが、あくまでも「一度にたくさんあげないようにする」ことが大切です。
ということは、猫にとっての大判海苔1枚は人間にとっての15枚ぐらいってことになるよね。
海苔が特に消化に悪い訳ではありませんが、どんな食べ物であっても大量に食べると消化不良になって、吐いてしまう恐れもあります。
猫が海苔を欲しがるのであれば、細かくちぎっておやつとして適切な量を与えるようにしましょう。
また、塩分が高い味付け海苔ではなく焼き海苔を与えるようにしてくださいね。
まとめ
猫に海苔を与えても、問題ないとおわかりいただけたでしょうか?
海苔には猫にとっては注意しなければならない栄養素は含まれていますが、絶対にあげてはいけないほどではありません。
猫が欲しがるならおやつに上手に取り入れてあげると、喜んでくれることでしょう。