猫は、10歳を過ぎるころから、ゆっくりと老化の兆候が見られ始めるといわれています。
高齢になるにつれて、何らかの原因でこれまで喜んで食べていた餌を食べなくなることもあるため、飼い主としては心配で心配でたまらないですよね。
特に老猫の食欲不振が続いてしまうと、必要な栄養素が摂取できないだけではなく、体力の低下やあらゆる病気を引き起こすきっかけにもなりかねませんので、早めに対処したいところ。
- 餌を何日も食べていない
- 餌を食べたがるのに、食べようとしない
- 餌を食べようともしないし、水も飲まない
上記のように、老猫が餌を食べないといっても様々なパターンがありますので、餌を食べなくなった原因を考えながら、それぞれの猫に対応していく必要があるでしょう。
そこで、この記事では、老猫が何日も餌を食べないということから、高齢猫の食欲不振を改善する方法について詳しくご紹介します。
現在に至るまで、数々の老猫と暮らしてきた筆者の経験を振り返りながら、食欲不振になりがちな老猫の食事事情を徹底的に解説しますよ。
もくじ
老猫がご飯を食べない!心配ないのは何日くらいまで?
ある日突然、老猫が餌を食べなくなったら、どうして食べないのか不安になりますよね。
「もしかして病気?」と慌てふためいてしまうこともあるかと思いますが、まずは老猫の様子をよく観察してみましょう。
ここでは、老猫が餌を食べなくても、何日くらいまでなら心配ないのかを解説しますよ。
1日以内の食欲不振なら大丈夫
老猫が餌を食べていないとされる期間が、1日(24時間)以内なら、餌を食べていなくても心配することはありません。
特に持病などを抱えておらず、健康な状態の老猫でしたら、1日(24時間)以内の食欲不振であれば、ひとまず様子を見ましょう。
- 生後1ヶ月~2ヶ月:8時間以内
- 生後2ヶ月~3ヶ月:12時間以内
- 生後3ヶ月~4ヶ月:16時間以内
- 1歳以上:1日(24時間)以内
上記のように、猫の食欲不振は月齢や年齢によっても危険度が変わっていくものですが、一食分くらいなら食べなかったとしても差し障りなく、体に影響のないことがほとんどです。
しかしながら、嘔吐を繰り返したり、食べてもけいれんを起こすなどの場合は、緊急を要する事態といえますので、すぐに動物病院を受診してくださいね。
1日以上の食欲不振だと要注意
老猫が餌を食べていないとされる期間が、1日(24時間)~1日半(36時間)以上になると、老猫の体に何らかの異常が起こっている可能性があります。
猫は、1日(24時間)~1日半(36時間)以上の食欲不振が続くと、栄養不足から脂質代謝異常(体内の脂肪が肝臓に蓄積される)を生じる危険があるため、「食欲はないけれど、元気がないわけではないし・・」と様子を見ていると、あっという間に悪化してしまうことも。
そんな、過剰な脂肪が肝臓に蓄積される病気のことを脂肪肝(肝リピドーシス)といい、食欲不振、あるいは絶食の状態が長く続けば続くほど、発症するリスクが高まってしまうんですね。
人間であれば、仮に数日間の絶食をしたとしても何とかなるものですが、猫が絶食状態となると命に関わりますので、注意が必要ですよ。
老猫がご飯を食べない原因
老猫が餌を食べない・・・
ただ今の餌に飽きてしまっただけなのか、体調が悪いのか、食欲不振になっている原因を早く見つけ出したいところですね。
では、老猫が餌を食べないとしたら、どのような原因が考えられるのでしょうか?
ここでは、老猫が餌を食べない原因を詳しく解説したいと思います。
歯周病
老猫が餌を食べない原因に、歯周病が理由のひとつとなっていることがあります。
歯周病とは、猫の歯に付着した歯垢のなかの細菌から発生した毒素が、歯肉や歯周組織に炎症をもたらし、時には歯を支える土台ともなる骨(歯槽骨)にも炎症が及ぶことのある病気。
2歳になると80%、7歳になると100%もの確率で、猫の歯に歯石が蓄積されるとのデータも挙がっており、年齢を重ねるとともに発症しやすいといわれています。
- 歯茎の炎症
- 歯茎の出血
- 歯のぐらつき
- 口臭(腐敗臭)
- 食べ辛そうにする
老猫は、年数の経過による歯の劣化や顎の筋力の低下から柔らかい食事を好みがちですが、そもそも噛み応えのあるドライフードに比べると柔らかなウェットフードは歯に残りやすく、歯周病を引き起こすきっかけとなってしまうことも。
歯周病が食欲不振の原因となっている場合、「食べたくても食べられニャイ・・」といった辛い状況かと思われますので、老猫が餌を食べる量もだんだんと減っていってしまうでしょう。
また、発症してしまった歯周病を歯磨きで完治させることはできないため、全身麻酔をして歯石を除去したり、ぐらついている歯を抜歯するといった治療が必要となります。
そんなことにならないためにも、日頃から歯周病の予防に効果的な歯磨きを習慣にしておくのが大切ですね。
口内炎
猫が高齢になるにつれて増えるとされている口内炎ですが、口内炎が重症化すると痛みによって何も食べられなくなるため、食欲不振の原因になってしまうことがあるでしょう。
老猫の口内炎は、加齢とともによだれの分泌量が減少し、口腔内の衛生状態が非常に悪化してしまうことで発症しやすくなる病気です。
- 食欲の低下
- 口臭の悪化
- 口腔内の痛み
- 口腔内が赤く腫れる
- 唾液の量が増える
- 毛づくろいをしなくなる
口内炎の初期の症状は、口腔内の粘膜がほんのりと赤くなる程度ですが、症状が進行すると唾液の量が増えたり、鋭い痛みが発生するようになるため、食べられなくなるのはもちろん、食欲の低下によって体重が減少することで、どんどん衰弱してしまいます。
また、猫が高齢になると口腔内のトラブルが発生しやすくなりますが、老猫特有の病気が口内炎を引き起こしている場合もあるでしょう。
- 歯周病
- 慢性腎臓病
- 口腔部後部口内炎
- 猫カリシウイルス感染症などウイルスによる感染症
口内炎は、いわゆる「猫風邪」といわれる、猫カリシウイルス感染症や猫ウイルス性鼻気管炎といったウイルスによる感染症がきっかけとなることが多いものの、歯周病や慢性腎臓病などの大きな病気が潜んでいる可能性もあります。
したがって、「口内炎が治れば、食欲も回復するだろう」と油断するのは危険ですし、痛みで生活レベルが低下してしまうのを避けるためにも、老猫に口内炎の症状が見られたら早めに治療を受けましょうね。
鼻水・鼻づまり
本来、優れた嗅覚を持つ猫は、匂いを敏感に察知する動物ではありますが、老猫になると嗅覚の機能が低下するため、嗅覚の衰えが食欲不振の原因となっていることもあります。
猫は、目の前にある食べものが安全か安全ではないかを、持ち前の嗅覚を利用して嗅ぎ分ける特性がありますので、鼻水や鼻づまりによって食べものの匂いを感じることができなくなると、途端に食事を摂らなくなってしまうんですね。
だんだんと免疫力も低下する老猫は、猫カリシウイルス感染症・猫ウイルス性鼻気管炎などによる猫風邪にも罹患しやすくなりますが、単なる猫風邪からの鼻水や鼻づまりではなく、老猫特有の病気を発症している可能性もあります。
- 歯周病
- 鼻腔内腫瘍
- 猫カリシウイルス感染症などウイルスによる感染症
猫風邪になったこともないのに、年を取ってから鼻水や鼻づまりの症状が見られたら、そのままにしておかずに動物病院で相談してくださいね。
基礎代謝の低下
猫も人間と同様に、年齢を重ねるにつれて基礎代謝が低下していくものですので、一日に必要なエネルギー量も少なくなりますが、それが食欲不振の原因になっているかもしれません。
老猫になると、一日の大半が睡眠の時間であったり、お気に入りのスペースでじっとしている時間が増えるため、成猫のころよりも圧倒的に運動量・活動量が減少します。
老化とともに食事量が落ち着くのはごく自然なことともいえますし、成長期のように大量に食べさせる必要もありませんので、今までよりもフードの分量を減らし、複数回に分けて与えるのが良いでしょう。
老猫の食欲不振を改善する方法は?
老猫の食欲不振をそのままにしておくと、体力の低下を招くだけではなく、様々な病気を引き起こすことにもなりかねません。
少しでも食欲を取り戻してほしいものですが、いつものように食べてもらうためには具体的にどうすればいいのでしょうか?
ここでは、老猫の食欲不振を改善する方法を解説します。
フードの種類を変えてみる
シニアタイプのフードを与える
年数とともに劣化した歯や低下した顎の筋力では、今までなら食べることのできたドライタイプのフードも食べられなくなっていることがありますので、シニアタイプのドライフードを与えてみましょう。
シニアタイプとして展開されているほとんどのドライフードは、フードの形状が小粒になっていたり、分厚くならないように配慮されていたりと、老猫の歯や顎の力でも噛みやすいように設計されていますので、食べやすさが格段にアップ。
国産・外国産を問わず、シニアタイプのドライフードは数多く販売されていますので、愛猫のお気に入りを見つけてあげてくださいね。
ウェットタイプのフードを与える
食べやすさ・噛みやすさの点では、硬さのあるドライタイプのフードよりも、柔らかいウェットタイプのフードがおすすめでしょう。
さらにドライフードと比べてみると、ウェットフードは風味がより豊かということもあって、食欲をそそる美味しそうな匂いが老猫の食欲不振に一役買ってくれますよ。
老猫の健康維持に着目したウェットフードも多いですし、ウェットフードにはタンパク質が豊富に配合されているところも老猫にはベストといえますね。
ウェットフードは、主に「総合栄養食」「一般食」「食事療法食」といった種類に分けられますが、メインの食事として与えるのであれば、十分な栄養素が摂取できる「総合栄養食」と表記されたウェットフードを選びましょう。
ちなみに、「一般食」はいつものフードへのトッピングやご褒美のおやつとして与えるのに適しており、「食事療法食」は病気の予防や健康状態の改善を目的としたフードですので、必ず獣医師と相談のうえで与えるようにしてくださいね。
フードの与え方を工夫する
フードを柔らかくする
猫の年齢が上がると、口腔内のトラブルに悩まされることも少なくないかと思いますので、ドライタイプのフードをふやかして柔らかくするのがおすすめです。
猫の年齢や体重に適した分量のドライフードを、人肌に温めたお湯に浸し、ドライフードがふくらんで柔らかくなったのを目安に与えましょう。
- 30~40℃の温度のお湯を使用する
- お湯の量はドライフードがひたる程度
- ドライフードをひたす時間は10分程度
また、一手間かけてチキンスープやかつおだしを使用してふやかすと、立ち込める良い匂いで食欲の低下した老猫の食欲も湧きますよ。
しかしながら、あまりにも柔らかくし過ぎてしまうと、今以上に顎の筋力を衰えさせることになりかねないため、ドライフードには硬さが若干残るくらいにしておくのがベスト。
ふやかすことで硬いままのドライフードよりも食べやすくなりますし、何といっても栄養バランスの整ったドライフードを与えられるところが嬉しいですね。
ドライフードに含まれている栄養素のなかには、熱に弱い成分(ビタミン類など)もあるため、熱湯の使用はやめましょう。
トッピングをする
老猫になると、匂いを嗅ぎ分ける嗅覚も衰えてしまうものですが、いつものフードに風味のある食材をトッピングすることで嗅覚が刺激され、食欲アップが見込めます。
茹でたささみや刺身、焼き魚などを食べやすい大きさにほぐして、ふやかしたドライタイプのフード(そのままでも可)に混ぜ込むだけでも効果バツグン。
かつお節や煮干し、猫用のふりかけなどをトッピングしてみるのも◎ですね。
また、ウェットタイプのフードやスープタイプのフードを人肌に温めることでより風味が増し、ドライフードにトッピングすれば、老猫の食欲増進につながります。
- ウェットフードのパウチや缶を容器ごと湯煎する
- ウェットフードを与える分量だけ電子レンジで軽く加熱する
- ウェットフードを与える分量だけジップロックなどに入れて湯煎する
または
- ウェットフードを与える容器(餌皿など)を電子レンジで加熱する
電子レンジで加熱した容器でウェットフードを与えると、温まった容器の温度でウェットフードの匂いを引き立てることができます。
フードにトッピングするアイデアは、ただ単にいつものフードに食べ飽きてしまった場合にも役立ちますので、ぜひ試してみてくださいね!
ウェットフードが高温になると、猫の舌や口腔内をヤケドさせてしまう恐れがあるため、温め過ぎには注意しましょう。
強制給餌する場合のやり方と注意点
「強制給餌」とは、シリンジや飼い主の指などを用いて、文字通り強制的に餌を与えるということを意味します。
どうしても餌を食べないという老猫には、強制給餌も視野に入れなくてはなりません。
ここでは、強制給餌する場合のやり方と注意点を解説します。
強制給餌が必要なのはどんな時?
食欲不振の状態が見られてから、1日(24時間)以上が経過している老猫には、強制給餌が必要となるでしょう。
強制給餌とは、主に猫自身の力で餌を食べられなくなったり、食べようとしなくなってしまった場合に、強制的に餌を与えることです。
老猫が食べなくなってから、1日(24時間)以上が経過すると、脂肪肝(肝リピドーシス)などの深刻な病気を発症させるリスクが高まりますので、自発的に食べられるようになるまでは、強制給餌を行うのがベター。
強制給餌と聞くと、「無理に食べさせるの?」と戸惑ってしまいがちですが、少しでも早く体力を回復させ、免疫力を高めるためには、食事から栄養素を取り入れるということに勝るものはありません。
老猫が強制給餌を嫌がるといったデメリットもありますが、デメリットよりもメリットの方が大きいといえ、食べようとしない老猫に、何とか食べてもらおうと試行錯誤をしても効果が得られないのであれば、強制給餌を行うのもひとつの手段ですね。
強制給餌のやり方
強制給餌を行う前の下準備
まずは、老猫に強制給餌を行う前の下準備をしましょう。
- ドライフード
- ウェットフード(総合栄養食と表記されているもの)
- シリンジ(給餌用注射器)
- すり鉢
- ミキサーまたは ペーストメーカー
- タオルなど
強制給餌には、日頃から与えているドライフードをしっかりとお湯でふやかし、すり鉢とすりこぎでペースト状になるまですりつぶした形状のフードを使用します。
栄養価の高いウェットフードを使用するのもおすすめで、あらかじめペーストタイプになっているウェットフードならそのまま与えることができますし、ペーストタイプではないようなら、ドライフードと同様にウェットフードもお湯でふやかしてくださいね。
この時、処方されている薬などがあれば、すり鉢のなかにフードと薬を一緒に混ぜ込むようにすると、老猫の負担を最小限に抑えられます。
また、ミキサーがあると便利で、ミキサーにふやかしたドライフードとウェットフード、それから少量のお湯を入れれば、強制給餌に使用するフードが簡単に作れますよ。
温度に関しては、冷え過ぎたフードは食べないケースが多いため、ドライフードもウェットフードも、どちらも人肌まで温めるのが理想的でしょう。
強制給餌には、必ずしも手作りのフードを与えないといけないということはなく、市販の流動食を使用する方法もあります。
手を加えなくても食べやすい形状になっていますし、老猫に必要な栄養素も配合されているので、しっかりと老猫をサポートしてくれますよ。
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強制給餌を行う時の体勢
老猫に強制給餌を行う時の適切な体勢についても把握しておきましょう。
強制給餌を行う場合、老猫の体をうつ伏せの状態にしておくか、飼い主が老猫を抱っこした状態で与える方法が基本です。
老猫をバスタオルなどでしっかりと包んで保定してからうつ伏せにし、飼い主の脚で老猫の体を挟み込む体勢だと、老猫の体をうつ伏せにすることによって、誤嚥してしまうのを避けることができますよ。
また、飼い主が老猫の体を縦に抱っこし、顔を斜め上に向けてフードを与える体勢も、強制給餌にはよく用いられるスタイルといえ、顔を斜め上に向けることで、フードが逆流するのを防げます。
ちなみに、 猫を保定するための専用の保定袋も販売されていますので、チェックしてみてくださいね。
大人しい性格をしている老猫の場合、バスタオルなどで保定することによって、反対に怯えさせてしまう可能性があります。
愛猫の性格と、その時々の状況を踏まえたうえで強制給餌の体勢に対応していきましょう。
シリンジを使用する場合
強制給餌を行う前の下準備を終えたら、実際に強制給餌を行ってみましょう。
シリンジを使用して強制給餌を行う方法は、下記のとおりです。
- シリンジにペースト状のフードを詰める
- 猫の口の端にシリンジの先端部分を差し込む
- 少量ずつゆっくりとフードを流し入れる
- 口の端からこぼれたフードをタオルなどで拭く
ペースト状にしたフードをシリンジで与える場合、老猫の口の端(口角)にシリンジの先端部分を差し込み、上顎の方向にセッティングしたら、歯と頬の隙間からフードを流し入れるようにして与えましょう。
最初はゆっくりとしたペースでフードを流し入れることを意識するのがポイントで、ピチャピチャと舌で舐め取るようにしながら飲み込めるのが理想的です。
なかなか口を開かない老猫でも、口の端からだと比較的楽に流し入れることができますが、どうしても嫌がってしまうのであれば、フードにお湯を追加して緩めのペースト状に調整するのがおすすめ。
一本だけシリンジを準備しておくよりかは、あらかじめペースト状のフードを詰めたシリンジを何本か準備しておくと効率的に与えられますし、どのくらい食べたのかといったことも把握できますよ。
シリンジでフードを与えるとなると、どうしても口の端からフードがだらりと垂れてしまいがちなんですよね・・
老猫の口元が汚れたらすぐに拭うことができるように、タオルやウェットティッシュなどもスタンバイさせておくと便利ですよ。
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一気に大量のフードを流し入れると、老猫が上手く飲み込めなかったり、吐き戻してしまうことがあるので、気をつけましょう。
指を使用する場合
シリンジで強制給餌を行うのが難しいなら、飼い主の指でも強制給餌を行えますよ。
飼い主の指を使用して強制給餌を行う方法は、下記のとおりです。
- ペースト状のフードを指に取る
- 猫の口を開かせる
- 上顎にフードを塗りつける
ペースト状にしたフードを飼い主の指で与える場合、まずはフードを指に取り、空いているもう片方の指を口の端(口角)から差し込んで口を開かせたら、上顎にフードを塗りつけるようにして与えましょう。
老猫が口を開いた瞬間を狙ってフードを塗りつけるのがポイントとなり、塗り終えたら素早く口から指を離すことで、口を閉じれば否が応でもフードを飲み込むかたちになります。
また、口の奥までフードを塗りつける必要はなく、もっと手前の前歯のやや奥辺りに塗りつけるのが理想的で、あまり奥の方にフードを塗りつけると吐いてしまうことにもなりかねません。
フードの分量は、老猫の口のサイズに合わせながら少量から試すのがおすすめで、この工程を何回か繰り返してフードを与えましょう。
強制給餌の注意点
まずは動物病院を受診する
強制給餌の注意点としては、動物病院で強制給餌が必要かどうかの診断を受けてから強制給餌を行うことが大切となります。
食欲不振が続くと老猫の体内から電解質も一緒に失われていくため、脱水症状も併発しやすくなるのですが、動物病院で点滴の治療をすることで脱水症状が緩和されると、たちまち食欲不振が改善するケースがあるんですね。
脱水症状を判断するポイントは、老猫の首から肩にかけての皮膚を軽くつまみ、皮膚がゆっくりと戻っていく場合は、脱水症状を発症している可能性が高いといえるでしょう。
強制給餌は短時間で済ませる
老猫の負担を軽減させるために、一回の強制給餌にかける時間は、長くても15分以内を目安としましょう。
強制給餌に時間をかけると老猫が疲れてしまいますので、パパッと済ませたいところですが、嫌がってしまってスムーズに強制給餌を行えないなどといった場合は、フードを少量ずつ複数回に分けて与えるのがコツ。
最初はなかなか食べてくれない老猫でも、何度もチャレンジするうちに上手く食べられるようになることもありますので、一日でも早く元気な姿を取り戻すためにも、諦めずにチャレンジし続けてみてくださいね。
まとめ
老猫が何日も餌を食べないということから、高齢猫の食欲不振を改善する方法についてお伝えしましたが、いかがでしたか?
高齢化した猫の食事量というものが、ゆっくりとペースダウンしていくのはごく自然なことですが、何らかの原因があって「食べたいのに食べられない」のだとしたら・・
老化が食欲に影響をもたらしているだけならまだしも、食欲不振になっている原因があるなら、それをいち早く改善しなくてはなりません。
人間でも猫でも、健康を維持するには良質な食事を摂る必要があります。
愛猫にいつまでも長生きしてもらうためにも、栄養満点の食事を美味しく摂れるように工夫することが、何よりも大切ですね。