猫の健康のために、爪切りや耳掃除、ブラッシングなどのケアを日々している飼い主さんは多くいますが、歯磨きまでできている飼い主さんは案外少ないようです。
あなたも「そもそも猫に歯磨きって必要なの?」と疑問に思っているのではないでしょうか?
それに、いざ歯磨きをしようと思っても、猫の口に触れるのはかなり難易度が高いですよね。
今回は、猫の歯磨きの必要性ややり方、おすすめの歯磨きグッズなどを紹介していきます。
もくじ
猫の歯磨きを嫌がるけど本当に必要なの?
結論から言うと、猫に歯磨きは必要です。
私たちは虫歯や歯周病を予防するために歯磨きをします。
ところが、猫の場合は、人間とは違って虫歯にはなりません。
また、野生環境で暮らす猫であれば、食べ物は生きた獲物の皮やスジ肉で、それらを噛み切りながら食事しているので、余計な歯垢が溜まりにくく、歯周病にはなりにくい食習慣を送っています。
ですが、人間社会で暮らす猫はどうでしょうか?
水分が柔らかいウェットフード、ペースト状になったおやつ、食べやすく噛み切る必要のないドライフード、こういう食事を現代の猫ちゃんたちは口にしていますよね。
つまり、こういう食べ物は、自然の生きた餌のように歯を掃除するどころか、食べ物のカスが残りやすく、歯周病に発展しやすい食事なのです。
放っておけば蓄積された歯垢が歯周病を引き起こします。
実際、歯磨きをしなかったために歯周病になって、獣医さんのお世話になる猫もたくさんいるのです。
歯周病は次のように段階を踏んで悪化します。
歯周病の初期段階。歯茎が赤く腫れ、炎症が起こる。
歯肉炎が悪化した歯周病の第二段階の症状。口臭がきつくなり、歯茎から出血することも。
猫が痛みを感じ、フードを食べることを嫌がったり、口の周りを気にする仕草を見せたりするようになる。
さらに歯肉炎が悪化すると、歯と歯茎の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができる。歯周ポケットが広がり、そこに膿がたまってしまう。
最終的に歯が抜け落ちてしまい、フードを食べづらくなるため食欲が落ち、体力がなくなってしまう。
ですが、初期段階で治療をすることで回復も可能ですし、なによりそもそも歯周病にかからないように予防を徹底することで、こういった病気から猫を守ることが大切です。
そのためにも、正しい歯磨きの方法を覚えましょう。
猫が嫌がらない歯磨きのやり方やしつけの方法
では、実際に歯磨きをしてみましょう。
とは言っても、いきなり歯ブラシを突っ込むわけにはいきません。
歯ブラシは猫にとって未知の存在。
恐怖したり、中には興味を持ってくれたとしてもオモチャだと思ってじゃれようとする子もいます。
それに、そもそも口に触られること自体を嫌がり、歯磨きさせてもらうことが困難な猫がほとんどなのです。
ですので、しっかりと段階を踏んで口に触ることに慣らし、最終的に歯ブラシを使う、というように進めてみましょう。
STEP
1まずは口に触らせてくれるようにする
まずはじめに、“口に触る”ことからのスタートになります。
ここでもいきなり口に触るのではなく、頭や顎の下を撫でてリラックスしてきた頃にゆっくりと口のほうへ向かって撫でてみましょう。
最初は口を触る頻度も少なくして、「あれ?もしかして口触られてる?まあ、いっか」と猫に思わせることがポイントです。
無論、猫と会話することは残念ながら不可能なので、表情の変化に気を配ってあげてください。
目を閉じてリラックスしていれば、少しくらい大胆になってたくさん触っても良いでしょう。
STEP
2口の中に触ってみる
次は、“口の中”に触ってみる段階です。
口に触ることができたら、ゆっくりと口の中にも指を入れてみましょう。
もともと触られるのが好きだったり、身体のどこの部位を触っても怒らないような子だったりすれば、STEP1をクリアしたらすぐにSTEP2に移行できるでしょう。
そして、歯茎や歯に優しく触れてみます。
歯を露出させるには、猫の頭部を上から手で優しく掴み、上唇を親指でめくり上げるようにすれば大丈夫です。
上から手をかざされることは、猫に限らず多くの動物が恐怖心を抱くので、首元から徐々に上へ手をやりましょう。
ここでも、「口の中を触られてるのかな?」と少し思われたらやめて、口の周りや頭を撫でてリラックスさせたらまた口の中を触ってみて・・を繰り返します。
ここまでしてもさほど嫌そうでなければ、次のステップに進むことができます。
逆に、少しでも嫌がればすぐにやめてあげてください。
ここで変に根気を見せてしまうと、もう口に触らせてくれなくなってしまうかもしれません。
次のステップに進む場合も、嫌がった場合も、その日の歯磨き訓練は一旦終わりにするのがベターです。
一日で一気に歯ブラシを使うところまで進もうとすると、猫も疲れてしまいます。くれぐれも焦らず進めましょう。
STEP
3ガーゼやペット用の歯磨きシートで歯を磨いてみる
STEP1とSTEP2をクリアして、日を改めたらSTEP3です。
今度は、ガーゼやペット用のデンタルシートで実際に歯を磨いてみます。
これは「実際に磨く」という意味でも大切なステップですが、猫に口の中に異物を入れられることに慣れてもらうために重要です。
ガーゼの場合は軽く水で濡らして、指に巻き付け、それで歯を磨きます。
磨くときは、まずは犬歯と臼歯(奥歯)の表面を磨ければ大丈夫です。
慣れてきたら歯の裏側も磨きたいですが、口を大きく開かせるのも想像しただけで大変ですよね。
そういうときは、ペットフードを水で少しふやかして、ペットフードのニオイがついた水をガーゼに染み込ませて、口を開けたくなるように誘導してみてください。
また、歯磨きシートの場合も磨き方はガーゼと同じですが、中には独特のニオイのついている物もあって、猫の歯磨き意欲を削いでしまうものも・・。
しかし、最近では無臭の物や、逆に猫の好むような美味しそうなニオイのする物もあるので、なるべくはそういった物を選んであげたり、無臭のガーゼやペットフードの匂いを染み込ませたガーゼから始めるのが良いでしょう。
STEP
4いよいよ歯ブラシで実践!
ここまでステップアップしてこれたら、いよいよ歯ブラシを使って歯を磨いてみます。
じっくり時間をかけてステップアップしてきた猫ちゃんと飼い主さんの間には、きっと信頼関係が生まれているでしょう。
まずは歯の表面を磨いて・・と言いたいところですが、その前に。
歯ブラシはまだまだ猫にとって未知の存在です。
いくら口の中を触られることやガーゼなどの異物を入れられることに慣れたとはいっても、指やガーゼなどとは全く違う形状の物ですよね。
まずは歯ブラシで背中や顔の周りなどを撫でてあげて、怖くない物だと教えてあげましょう。
それからいよいよ歯ブラシで歯を磨きます。
どうしても歯の形状が人間と猫とでは違うのでどう磨いたら良いのか迷うかも知れませんが、そんなに心配することはありません。
猫の永久歯は30本ありますが、1本1本丁寧に磨いてあげます。
あまり力を入れずに、歯と歯茎の間に溜まった歯垢を掻き出すように、横方向に小刻みにブラッシングしてあげてください。
ブラシの角度は歯に対して45度が最適です。
まずは表面を、次に裏側を、丁寧に丁寧に、です。
最初のうちは猫も飼い主さんも、長時間かかってしまう歯磨きに疲れてしまうので、「今日は前歯だけ」とか「全ての歯を磨くけど、今日は表面だけ」と決めるのも、根気良く続けるためには最善の策です。
また、歯磨き粉を使うのも、歯磨き自体に慣れてからが良いでしょう。
人間用の歯磨き粉は使わず、必ず猫用の歯磨き粉を使ってくださいね。
というのも、人間用の歯磨き粉にはキシリトールが入っていることが多く、猫はキシリトールで低血糖を起こしてしまう危険性があるのです。
猫用の歯磨き粉ならば、舐めたり飲んだりしても害のないように作られています。
歯磨き粉を使う場合も、少量を歯ブラシにつけたら磨き方は同じです。
人間と違って、磨き終わってから水でゆすぐ必要はありません。
- まずは歯ブラシで背中や顔の周りを撫でで慣れさせる
- 1本1本を丁寧に磨く
- ブラシの角度は45度が最適
- 「前歯だけ」「表面だけ」のように部分的に行うのも良い
- 歯磨き粉を使うのは歯磨き自体に慣れてから
- 人間用ではなく猫用の歯磨き粉を使う
- 磨き終わってから水でゆすがなくてもOK
猫に必要な歯磨きの頻度は?
結論から言うと、毎日必要です。
私たち人間は毎日食事をして、1日に1〜2回は歯磨きをするのが理想的ですし、それを実践している人も大多数。
猫も同じで、毎日食事をしています。それならば、人間と同じく、毎日歯磨きをすると考えるのが自然です。
歯垢は、約1週間で歯石に変化します。
ですので、できれば毎日歯磨きをするのが理想ですが、週に2〜3回でも効果はあるでしょう。
猫の歯磨きグッズおすすめはこれ!
ここまで読まれて、猫の歯磨きが想像以上に大変だと感じたかもしれません。
たしかに、猫の歯磨きはかなりハードですよね。
いくら健康のためだとはいえ、嫌がる猫に無理やり歯ブラシを突っ込んで歯磨きをするのは、猫にとっても飼い主にとっても辛いことでしょう。
そんなときは、歯ブラシの頻度を少しでも抑えられるようなアイテムに頼るのも、決して悪いことではありません。
歯ブラシ以外のデンタルケア用品をいくつか紹介します。
歯磨きシート
こちらは歯ブラシを使う前に異物を口に入れることに慣れさせるためにも効果的なグッズです。
歯磨きシートで歯の表面を一通り磨けたら、歯ブラシの出番は歯と歯茎の間の歯垢を取るためだけ、と使用時間はかなり短くできます。
指に巻き付けて使うので、動かしやすさも抜群で磨きたい部分をしっかりと磨けますね。
Amazonでベストセラーとなっている商品です。
しっかりと歯石を絡めとる構造をしていて、取れた汚れも自分の目で確認できるのが良い点です。
歯磨きおもちゃ
猫用のおもちゃは、猫自ら喜んで噛んで遊んでくれる、それによって歯が磨かれる代物で、猫の大好きなまたたびの成分が入っているものもあります。
ただし、飽きるのも割りと早めなのが難点です。
猫が飽きずに遊んでくれれば、歯ブラシによる歯磨きの頻度は少なくできます。
歯磨きおやつ、歯磨きガム
こちらも歯磨きおもちゃ同様、猫が自発的に口にしてくれるのが嬉しいアイテム。
歯石除去の効果があり、味の種類もたくさんでているので、きっとあなたの猫ちゃんのお気に入りが見つかるはず。
しかし、しっかりと噛まずに丸飲みしてしまう場合があるので、その場合は歯磨き効果は期待できません。
こちらも我が家の猫御用達ですが、なんと言っても味の種類が豊富なので猫が口にする意欲を掻き立ててくれます。
マウスクリーナー
こちらは猫が普段飲んでいるお水に混ぜるだけ。
口臭を抑える効果や、歯石予防の効果があります。
無味無臭で、猫にとっても違和感なく普段と変わらず水を飲みながら対策できるので、とても使いやすいです。
実際に我が家の猫に使っていますが、水に混ぜるだけで毎日続けられますし、最初からなんの違和感もなく口にしてくれています。
まとめ
今回は、猫の歯磨きの必要性と歯磨きのやり方についてご紹介しました。
歯周病を予防するためにも歯磨きは必須ですが、猫のケアの中でも、歯磨きはかなり難易度の高いものです。
でも、時間をかけて根気良く歯磨きができるように頑張れば、きっと猫ちゃんも分かってくれます。
歯磨きグッズはたくさんありますが、やっぱり一番良いのは「歯ブラシ」ですね。
歯ブラシ以外のアイテムは、あくまでも補助アイテムと考えるのが良いでしょう。
しかし、補助アイテムを使えば2、3日に1回の歯磨きでもかなり歯周病予防の効果は期待できるようになります。
猫ちゃんと飼い主さんの信頼関係を築くためにも、歯磨きはとても大切な習慣になることでしょう。
猫の健康のためにも、少しづつ挑戦してみませんか?
【編集:MOTTO CAT運営スタッフ】