近年、猫や犬の「マイクロチップ」が少しずつ認知されてきましたね。
しかし、言葉自体は知っていても、マイクロチップを装着する意味や必要性などはまだまだ知らない人が多いようです。
あなたも、マイクロチップを検討しているものの、どんなデメリットや副作用があるのか気になっているところだと思います。
ここではマイクロチップについて正しく知っていただき、メリットとデメリットを踏まえた上で、自分と自分の愛猫にとって必要なものなのかを見極めてくださいね。
もくじ
マイクロチップとは?
まだまだ認知度も普及率も低い「マイクロチップ」。
そもそも何なのか知らない人も多いかもしれません。
マイクロチップとは、アンテナとICを内蔵している「電子タグ」です。
サイズは長さ8mm〜12mm、直径2mm程の円筒型です。
引用画像:環境省(マイクロチップ)
マイクロチップには15桁の個体識別番号が割り振られていて、この番号を専用のリーダー(読取器)で読み取ることで、その動物の様々な情報を読み取れます。
猫の場合、マイクロチップには下記の情報が登録できます。
- 個体識別番号
- 飼い主の名前
- 飼い主の住所
- 飼い主の電話番号
- 猫の名前
- 猫の種類
- 避妊、去勢手術をしているか
- 獣医の情報
マイクロチップにはGPS機能はないので、位置情報は含まれません。
猫の場合、普通の注射針より太い挿入器を使って、首の後ろの左下あたりに埋め込まれます。
猫にマイクロチップは必要か?
猫にとってマイクロチップは、人間で言うと免許証や住民票などの「身分証明書」になると言われています。
自分(猫)の名前も飼い主の名前もわかり、住所もわかる身分証明書は、とても重要なものですよね。
しかし、完全室内飼いの猫であれば、基本的に自分の身分を証明するものはハッキリ言って必要ありません。
・・・と言いたいところですが、飼い主が『完全』だと思っているからこそ『万が一』も怖いものです。
万が一、外に出てしまったら・・・。そして万が一、そのまま帰って来なかったら・・・。
そんな『万が一』に備えた「保険」とも言えます。
日本ではまだ全ての猫に対するマイクロチップ装着の完全義務化がされていないので、判断は飼い主に委ねられます。
そのため、「必要」か「不要」かの2択で言い切れるものではありませんが、次に紹介するメリット、デメリットを読んだ上で、愛猫にとって必要かどうか決めるのが良いでしょう。
2019年6月現在、改正動物愛護法では、販売用の犬猫マイクロチップの装着は義務化されています。
マイクロチップのメリット
それでは、マイクロチップのメリットから見てみましょう。
- 身元がわかる
- 飼育放棄の減少が期待できる
- 猫にとって邪魔にならない
- ペット保険の加入時に優遇されることがある
- 海外に行く時にスムーズ
- 種類によっては体温計代わりにも
1身元がわかる
これが最大のメリットです。
先程も述べたように、マイクロチップは猫の身分証明書となります。
万が一、脱走して迷子になってしまっても、あなたの元に帰って来てくれる可能性が高くなります。
迷子になって、仮に保健所に行き着いた場合、考えたくありませんが、そのまま殺処分になってしまう可能性もゼロではありません。
マイクロチップで身元がわかれば、そんな「万が一」の不幸も防ぐことができます。
以前、静岡で行方不明になった猫が1ヶ月後名古屋で発見されるという奇跡的な出来事があったよね!
うん、マイクロチップを装着していたことで身元がわかって、無事に飼い主の元に帰ることができたんだよ^^
2飼育放棄の減少が期待できる
飼い主の名前や住所がわかるので、みだりに猫を捨てる人が減り、不幸な猫が減ることが期待できます。
マイクロチップがなくても責任を持って終生飼養するのが当たり前ですが、マイクロチップを装着することにより『公的に認められた自分の所有物』ということを証明することとなるので、飼い主の責任や終生飼養の意識がさらに高まることに貢献するでしょう。
3猫にとって邪魔にならない
身元を証明するために迷子札という手もありますが、迷子札や首輪は重かったり、どこかに引っかかってしまったりと、猫にとって邪魔になることが多いです。
時には危険な目にあう可能性もありますし、首に何かを常時着けていることにストレスを感じる猫ちゃんも少なくありません。
また、自分で器用に首輪を外してしまう猫ちゃんもいます。
そんなとき、マイクロチップは体内に埋め込まれているので邪魔になることは一切なく、猫にとってはストレスフリーです。
4ペット保険の加入時に優遇されることがある
マイクロチップを装着していることによって、割引制度が適応されるペット保険があります。
大手保険会社のアクサダイレクトなどがマイクロチップ割引制度を導入しています。
ペット保険に加入するときに、選ぶ基準のひとつとすると良いでしょう。
5海外へ行くときにスムーズ
国によっては、マイクロチップの装着が義務付けられているところもあります。
もしあなたが海外旅行に猫を連れていく、あるいは、猫を連れて海外移住を予定している場合、愛猫にマイクロチップが装着されていれば、スムーズに準備できるでしょう。
ただし、猫は基本的に環境が変わることに非常にストレスを感じる生き物です。
海外旅行や海外移住に猫を同伴する場合は、猫の年齢や健康状態なども考慮しなくてはいけません。
さらに、動物検疫が非常に厳しく、おいそれと簡単には通過できません。
それでも猫を海外に連れて行くという選択をする場合は、マイクロチップの埋め込みは必須となります。
6種類によっては体温計代わりにも
マイクロチップの種類によっては、それ自体が体温計になっており、読み取ると体温計測ができるものもあります。
通常、体温計測は肛門に体温計を挿入して行いますが、それを嫌がる猫は少なくありません。
しかし、マイクロチップで計測できるならば、猫のストレスを減らせますね。
マイクロチップのデメリット
次にマイクロチップのデメリットを見てみましょう。
デメリットもしっかりと理解して、実施するかどうかを決めるのが大切です。
- 一瞬とはいえ痛みが伴う
- 専用のリーダーがないと識別できない
- 盗難被害は防げない
- MRI検査で画像が乱れることがある
- 挿入された位置がズレてしまうことがある
1一瞬とはいえ痛みが伴う
マイクロチップの針は普通の注射針と比べて、サイズが非常に太くなります。
普通の注射針(猫・小型犬用) ⇒約0.5mm
普通の注射針(大型犬用) ⇒約1.2mm
マイクロチップ注射針 ⇒約2.0mm
猫は痛みに強いといわれていますが、ワクチン注射などの普通の注射針でもそれなりに痛みは感じています。
ところが、マイクロチップ注射器の注射針は普通の注射針に比べて太さが数倍あるので、一瞬とはいえかなり痛みは強いでしょう。
注射は本来怖がられ、嫌がられるものです。
それは猫をはじめとする動物にとっても同じで、少なからず痛みとストレスを与えてしまいます。
もし猫の恐怖やストレスが強く痛みを回避したい場合は、別途費用にて麻酔を使用することも可能です。
ただし、麻酔は可能性は低くても生命のリスクを伴う行為ではあるので、事前に獣医師に相談しましょう。
マイクロチップ挿入のためだけにリスクテイクの必要はないと考える方は、たとえば歯石除去や内視鏡などの全身麻酔を必要とする処置のタイミングで、マイクロチップ挿入の処置を同時に行うことも一つの方法です。
こちらも合わせて獣医師とよく相談し、愛猫への負担を最小限にしてあげましょう。
2専用のリーダーがないと識別できない
いくらマイクロチップに情報を登録しても、それを読み取るリーダーがなければ意味がありません。
そのリーダーの数が全国的にまだまだ少ないのが現状です。
リーダーは全国の保健所や動物保護センター、動物病院などに配備されています。
3盗難被害は防げない
もし、猫が盗難に遭ってしまっていた場合は、マイクロチップを埋め込んでいても猫があなたの元に帰って来る可能性は残念ながら限りなく低くなります。
たとえ身元が判明しても、猫がリーダーで情報を読み取れる場に連れて来られない限りは話になりません。
盗難犯がそんなことするわけがありませんよね。
しかし、愛猫が他の人の手に渡っていることが運良くわかった場合は、マイクロチップを埋め込んでいれば自分の猫だということを証明できる物として役立ちます。
4MRI検査で画像が乱れることがある
仮に猫がMRI検査を受けることになった場合、マイクロチップ装着の影響で画像が乱れることがあります。
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、別名「磁気共鳴画像」といいます。
MRI検査とは、強力な磁気や電磁波を使って体内の状態を画像で描写する検査のこと。
基本的には判断に問題が起こるような乱れは生じませんが、使用される機械によっては磁気の影響で画像が大きく乱れることもあります。
猫の身体に悪影響があったり、マイクロチップの故障を起こしたりすることはありませんが、画像判断に問題が起こる可能性があることは知っておきましょう。
どうしても診断の邪魔になる場合は、埋め込んだマイクロチップが摘出されこともあるようです。
5位置がズレてしまうことがある
マイクロチップは、首の後ろから背中にかけての皮膚が伸びる場所に中央よりもやや左の皮膚直下に埋め込まれますが、日が経つにつれて徐々にズレていきます。
ズレの可動範囲はわりと広く、首の後ろのあたり一帯を日々動いていますが、まれに動きすぎて頭やお腹の方にズレていってしまうこともあります。
そうなると、リーダーをかざしてもマイクロチップの情報がうまく読み取れなくなってしまいます。
マイクロチップの副作用や安全性は?
副作用について
体内に入った異物に対するアレルギーを防ぐために、マイクロチップは生物的適合性物質で作られています。
そのためアレルギーを引き起こすことは非常に稀ですが、「ゼロ」とは言い切れません。
マイクロチップ装着による考えられるリスクは以下のとおりです。
- アナフィラキシーショック
- 気管障害
- 出血
- 感染
- 腫瘍
安全性について
前述した副作用に関する報告や、ショック症状の報告は、日本中医師会によると日本国内では今のところ1件もありません。(※2018年9月現在。)
しかし、国外ではマイクロチップの装着が義務付けられているイギリスにおいて、挿入時に誤ってマイクロチップが脳へ挿入される事故がありました。
日本ではまだまだ普及率が低いために事故報告がないだけであって、普及率が高まればこのような事故報告や副作用に関する情報があがってくる可能性もあります。
ですが、マイクロチップのリスクは論文上0.1〜0.2%とされており、基本的にはマイクロチップはメリットが多く安全と考えても良いでしょう。
デメリットはありますが、だからといってメリットも見失ってしまわないようにしたいですね。
まとめ
マイクロチップについての基本的な情報や、メリット・デメリットなどを紹介しましたが、いかがでしたか?
現在販売されていない飼い猫ちゃんに関しては装着をしないという判断も自由ですが、近年の動向からマイクロチップ装着が一般的となるでしょう。
2019年6月現在、改正動物愛護法では、販売用の犬猫マイクロチップの装着は義務化されています。
装着するのであれば、「もう外せない」ことは念頭に、後悔のないようにしてあげましょう。
【編集:MOTTO CAT運営スタッフ】