現在、日本国内における猫の多頭飼い率は年々増加しています。
癒しそのものともいえる猫の姿や行動を眺めていると、どうしても「一度は多頭飼いしてみたいなぁ・・・」なんて考えてしまうことでしょう。
しかしながら、猫を多頭飼いしたことがない人にとっては、先住猫との相性を心配したり、トラブルが発生しないかどうかなど、様々な不安がつきものですよね。
そこで、この記事では、猫の多頭飼いを失敗させないコツをはじめ、性別や相性の注意点から準備しておくことまで、詳しくご紹介します。
多頭飼い歴20年以上の筆者が、歴代の愛猫たちとのエピソードを交えながら、猫の多頭飼いについての疑問を徹底的に解説しますよ!
もくじ
猫の多頭飼いにあたっての事前知識
猫を多頭飼いしたいと思い立ったら、多頭飼いについてのキホンを知ることが大切。
ここでは、猫を多頭飼いするにあたって知っておくべきことを解説します。
多頭飼いのメリット
まずは、多頭飼いにおける人間と猫にとってのメリットからそれぞれ見てみましょう。
人間側から見た多頭飼いのメリット
- 様々な猫種・性格の猫との生活を楽しめる
- 多頭飼いならではの猫の生態を見ることができる
- 飼い主の不在時でも寂しさを感じさせることがない
様々な猫種・性格の猫との生活を楽しめる
多頭飼いの最大のメリットは、何といってもいろいろな猫種・性格の猫との暮らしを楽しむことではないでしょうか。
猫の品種は実に多様なもので、猫種登録団体への登録・未登録を含めると、なんと300種類を超えるといわれているほど!
猫種が異なると目にも楽しいのはもちろん、猫の性格も十人十色(十猫十色?)ですので、退屈とは無縁の日々を送れることでしょう。
多頭飼いならではの猫の生態を見ることができる
また、飼い主にとっては、猫を多頭飼いしていないと見られないであろう猫の生態を間近で感じられることもメリットとなるでしょう。
いわゆる「猫団子」のように、猫たちがぎゅうぎゅうに寄り添い合ったり、叱られて落ち込む猫を他の猫が毛づくろいして慰めてあげたりなど、一匹だけの生活ではお目にかかれないシーンも、多頭飼いなら日常的に見ることができますよ。
本来、猫は単独で行動する動物ですが、多頭飼いという環境のもとでは仲間意識が芽生えることも大いにあるので、仲睦まじい猫の様子を目にするチャンスが増えるでしょう。
飼い主の不在時にも寂しさを感じさせることがない
多頭飼いのメリットのなかには、留守番など飼い主がいない時も猫に寂しさを感じさせないというものもあります。
一匹だけの留守番では、寂しさから問題行動につながることも多いですが、多頭飼いなら猫が寂しさを感じる心配がありませんので、慌てて帰宅したのに何事もなかったり、それどころか寄り添ってぐっすりと眠っている・・・なんてことも。
いつもは喧嘩をしているのか、はたまた遊んでいるのか分からないような関係性の猫でも、飼い主の不在時には仲良く過ごしながら待っていてくれることでしょう。
猫側から見た多頭飼いのメリット
- 同じ種族の遊び相手が増える
- 猫同士で行動(寝食・毛づくろい)を共にできる
- 新入り猫との刺激でシニア猫も若返ることがある
同じ種族の遊び相手が増える
猫にとっても多頭飼いの環境が良い点は、猫という同じ種族の遊び相手が増えることでしょう。
じゃれ合ったり、全力疾走で追いかけっこをしたり、猫同士で「一緒に遊ぼうよ~」と誘い合ったりなど、猫ならではの遊び方ができるので、猫としてもとても楽しそう。
じゃれ合っているうちに喧嘩になってしまうこともありますが、仲の良い猫同士ではほとんど喧嘩することはないといわれていますので、安心してくださいね。
猫同士で行動(寝食・毛づくろい)を共にできる
また、猫同士での行動を共にできることも多頭飼いのメリットとなります。
猫たちがくっついて眠るのも、舌の届きづらいところを毛づくろいし合うのも愛情表現のひとつであり、お互いの匂いに安心することで、猫なりにリラックス効果を得ているんですね。
また、猫は美味しい食事の時間を共有することで幸せを感じ、仲間として受け入れやすくなるともいわれていますよ。
新入り猫との刺激でシニア猫でも若返ることがある
個体によっては、新入り猫(特に子猫)との刺激でシニア猫が若返るケースもあります。
シニア猫の精神面や肉体面を考えると、新しく猫を迎え入れるのは諦めるべきなのか悩みどころではありますが、世の中には「若い猫から刺激を受けて、元気になった!」といったエピソードの多いこと!
ずっと眠ってばかりのシニア猫が、活気あふれる子猫と遊ぶことで目に見えて若返り、もっともっと長生きしてくれたら嬉しいですね。
我が家の場合、チビ(黒猫・♂)が12歳の冬に、生後2ヶ月のレイ(ロシアンブルー・♀)を迎えましたが、見る見るうちに若返っていきました。
年老いてからは興味をなくしていたおもちゃで遊び、子猫に負けないスピードで走り回る姿には「そんなに走れたの?!」と驚くほど。パワフルな子猫に疲れてしまうタイプのシニア猫もいますが、チビには当てはまらなかったようです。
ちなみに、歴代のシニア猫も若返るタイプでした。
今では、尊敬しているといわんばかりにチビの後ろをついて回るレイ。何をするのもいつも一緒です。
yuki
多頭飼いのデメリット
次に、多頭飼いにおける人間と猫にとってのデメリットを見てみましょう。
デメリットを正しく理解することで、多頭飼いにまつわる問題の解決につながります。
人間側から見た多頭飼いのデメリット
- 頭数分の飼育費・医療費が必要になる
- 頭数分の健康管理をしなくてはならない
- 世話をする手間が増える
頭数分の飼育費・医療費が必要になる
多頭飼いの最大のデメリットは、猫の頭数分の飼育費と医療費が必要になることです。
令和元年に行われた一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、猫の飼育に必要な支出額を生涯(平均寿命15.03歳として)に換算すると、1匹あたり1,344,751円となっていました。
参考 令和元年 全国犬猫飼育実態調査一般社団法人ペットフード協会ペット保険への加入なども主流となりつつあるため、猫に関する支出額は年々増加している傾向ですが、病気や怪我をすると、上記の金額より更なる出費となることも。
そのため、安易な考えでの多頭飼いは避け、自らの経済状況と照らし合わせながら、よくよく検討することが非常に大切だといえるでしょう。
頭数分の健康管理をしなくてはならない
多頭飼いをするということは、猫の健康管理も全頭数分、飼い主が責任を持って行う必要があります。
猫の健康を保つためには、食生活の管理にはじまり、異常なところがないかを確認するためのボディチェック、排泄物のチェックなどを日課とし、それぞれの猫からのシグナルを決して見逃してはいけません。
体調を崩していないかどうかを把握するのはもちろんですが、猫は人間のように言葉を話せないからこそ、より注意深く健康管理をすることが必要となりますよ。
世話をする手間が増える
また、多頭飼いをするのであれば、当然、猫の世話をする手間が増えることにもなります。
猫は犬に比べると散歩する必要もありませんし、世話するのもはるかに楽なイメージですが、猫の頭数が多くなると何かと振り回されることも少なくありません。
綺麗好きな猫のためにトイレ掃除を頻繁にしなくてはならないだとか、気に入らないことがあると粗相をするだとか、胃や食道に毛玉が溜まると嘔吐だってします。
一匹だけでも手を焼きますが、それが何匹もとなると・・・自らのキャパシティとよく相談してから、多頭飼いするかどうかを決めましょう。
猫側から見た多頭飼いのデメリット
- 寝床・食事などを奪われることがある
- 猫同士の相性が悪いとストレスになる
- 飼い主の愛情を独り占めできなくなる
寝床・食事などを奪われることがある
猫にとって、多頭飼いがデメリットとなる場面の一つは、寝床や食事などを他の猫に奪われることがあることでしょう。
猫には上下関係があるため、優位な立場にある猫が劣位の立場である猫の食事を奪ったり、お気に入りの場所(寝床など)を分捕ってしまうことも。
そうこうしているうちに、そのまま喧嘩につながってしまうこともあり得ますので、常に飼い主が目を光らせておくことが重要となります。
猫同士の相性が悪いとストレスになる
また、猫同士の相性が悪い場合も、猫にとって相当なストレスがかかり、多頭飼いがデメリットとなってしまうでしょう。
片時も離れたくないといわんばかりに寄り添う猫たちもいれば、顔を合わせるだけで「フーッ!シャーッ!」と威嚇する猫たちもいるので、相性を見極めるのは難しいところですね。
お互いを受け入れられない猫の場合、生活スペースを分けるなどの対処も必要となってきます。
飼い主の愛情を独り占めできなくなる
個体によっては、飼い主の愛情を独り占めできなくなることがデメリットとなってしまうケースもあります。
どうしても新しく迎えた猫に夢中になってしまいがちですが、先住猫への扱いをおざなりにしてしまうと、ストレスから問題行動も起こしかねません。
今まで、飼い主の愛情を一身に受けていたであろう先住猫が、新入り猫に嫉妬してしまうことのないように、何をするのも先住猫を最優先してあげましょう。
何頭までなら多頭飼いできる?
猫を多頭飼いするなら、3匹までにしておくのがおすすめ。
猫は、野生のころからの縄張り意識を今もなお強く残しており、寝食を行う範囲内を「ホーム・テリトリー」、狩りを行う範囲内を「ハンティング・テリトリー」と決めて行動しています。
したがって、猫の頭数が多いと熾烈な縄張り争いに発展することにもなりかねないため、猫たちが穏やかな日々を過ごせるように、頭数を増やし過ぎるのは好ましくありません。
それだけでなく、動物行動学の視点から考えても、4匹以上が集まると1匹は仲間外れにされやすいとされているので、やはり3匹までにとどめておく方がベターでしょう。
将来的に仲が悪くなる可能性もある
猫を多頭飼いしていると、最初は猫同士の仲が良かったのに、急に仲が悪くなったというケースも珍しくありません。
原因として、突然の環境の変化などによるストレスで攻撃的になるということも考えられますが、発情期の交尾行動が不仲のきっかけになることも。
例えば、去勢手術をしていないオス猫がメス猫に発情状態となり、オス猫がメス猫の首を噛む「ネックグリップ」という動作をメス猫が拒絶することで険悪になるパターンですね。
オス猫とメス猫を多頭飼いしていて、交配させる予定がないのであれば、それぞれに去勢・避妊手術をしておく方が望ましいでしょう。
我が家の場合、チビ(黒猫・♂)がやってきてしばらくしたころ、まだ健在であった先住猫のサン(黒猫・♂)に縄張り争いを挑み、流血沙汰となったことがあります。
サンは心優しい性格の猫で、飼育放棄されてさまよっていたチビを快く迎え入れたというのに、まさかの手の平を返されるかたちに。
若く、血気盛んなチビにサンも怯えてしまい、サンが虹の橋を渡るまで隔離生活が続くこととなりました。
その間、なんと7年間。
縄張り争いが不仲のきっかけになることも大いにあり得ます。
yuki
多頭飼いがやりやすい相性とは?
一般的に、「多頭飼い」とは2匹以上の頭数を意味します。
猫の多頭飼いは相性が全てといっても過言ではありませんが、どのような組み合わせなら多頭飼いしやすいのでしょうか?
ここでは、多頭飼いが成功しやすい相性について、性別・性格・年齢別に解説します。
性別
- オス猫×メス猫
- メス猫×メス猫
上記のように、オス猫とメス猫の組み合わせや、メス猫とメス猫の組み合わせは、縄張り意識の低さから多頭飼いに向いているといえます。
先住猫がオス猫の場合、縄張り意識を強く持つため、縄張り意識の低いメス猫を迎えると成功しやすく、去勢・避妊手術をしておくことでより良い関係性を築けるでしょう。
ちなみに、先住猫がメス猫の場合、新入り猫にオス猫を選んでも問題はありませんが、同性のメス猫を選ぶことでより縄張り争いを避けられますよ。
- オス猫×オス猫
上記のように、オス猫とオス猫の組み合わせは、縄張り意識の高さゆえに喧嘩が絶えないということで、多頭飼いには向かないとされています。
特に、去勢手術をしていないオス猫の場合、オス特有のホルモンの働きが縄張り意識を強くさせるため、他の猫に対して攻撃的になる傾向が。
ちなみに、避妊手術をしていないメス猫の場合、オス猫に比べると神経質になる傾向がありますが、避妊手術をすることで神経質な部分が和らぐので、他の猫も受け入れやすくなるでしょう。
性格
- おおらか
- のんびり
- 楽天的
- 社交的
上記のように、主に先住猫の性格が、おおらか・のんびり・楽天的・社交的であればあるほど、多頭飼いに向いているといえるでしょう。
多頭飼いを成功させるには、先住猫の性格が大きなキーを握っているため、「どんな猫でもウェルカムだにゃ~」という優しい性格をしている先住猫の場合、安心して新入り猫を迎えることができそうですね。
- 神経質
- 怖がり
- 気が強い
- 警戒心が強い
上記のように、主に先住猫の性格が、神経質・怖がり・気が強い・警戒心が強いといったものであると、多頭飼いには向かないでしょう。
しかしながら、神経質で警戒心の強い性格をしている先住猫であっても、新入り猫に慣れるまでは時間を要するものの、トライアル期間を設けるなどして、気長にゆっくりと慣らしていくと上手くいく可能性もあります。
先住猫と新入り猫との初対面のタイミングに気を配るだけでも、今後の関係性が良好になることがありますし、新しく猫を迎え入れたら、先住猫にどのような影響が及ぶのか慎重に考えてから行動するのがポイントですよ。
年齢
- 子猫×子猫
- 親猫×子猫
- 成猫×子猫
上記のように、子猫と子猫の組み合わせや、親猫と子猫という血縁関係(兄弟・姉妹猫も可)にある組み合わせは、多頭飼いが最も成功しやすいです。
子猫の場合は、まだ縄張り意識も低いですし、じゃれ合っているうちに仲良くなるケースがほとんどで、お互いに遊び相手と認識ながら育つことのできる理想的な組み合わせ。
血縁関係にある猫の場合も、最初から自然と仲良くすることができるため、親猫または兄弟・姉妹猫と子猫を同じタイミングで迎えるのもおすすめですよ。
また、先住猫が成猫の場合は、新入り猫に子猫を選ぶと上手くいく可能性が高いでしょう。
- シニア猫×子猫
上記のように、シニア猫と子猫の組み合わせは、シニア猫が子猫を受け入れることができないようなら失敗することもあるため、吉凶混合といえるでしょう。
子猫との刺激でシニア猫が若返ることも確かですが、まったりと毎日を過ごしたいシニア猫にとってみれば、パワー全開の子猫の動きには疲弊してしまいがち。
子猫の存在がシニア猫のストレスになってしまうと、病気を引き起こすきっかけともなりかねないので、シニア猫に対しての配慮が必要となりますね。
多頭飼いする前に準備すること
猫を多頭飼いするにあたって、事前に準備しておかなければならないことがあります。
ここでは、多頭飼いの前に準備することについて解説しましょう。
新入り猫の健康状態を調べておく
猫を多頭飼いすることになったら、事前に新入り猫の健康状態を調べておきましょう。
- 体質に問題はないか?
- ワクチンを接種しているか?
- 動物病院での健康診断を受けているか?
猫を入手する方法としては、ブリーダー・ペットショップ・保護団体からの譲渡・知人からの譲渡・野良猫の保護などがポピュラーですが、どのルートから猫を迎えるとしても、猫の健康状態を確認しておくことはマスト。
また、ノミやダニをはじめとする寄生虫の有無、猫から猫への感染症の原因となるウイルスを保有していないかなど、病気の種類によっては多頭飼いできないこともありますので、動物病院での検査は怠らないようにしましょう。
新入り猫を迎え入れる準備を整えておく
猫を多頭飼いすることになったら、事前に新入り猫を迎え入れる準備を整えておきましょう。
- 寝床
- ケージ
- フード
- 食器類
- トイレ
- 隔離部屋
新入り猫が知らない環境に慣れるまでは、不安になったり、興奮することのないように、落ち着いて過ごせるケージが必要です。
また、新入り猫を迎え入れてしばらくのあいだは、先住猫とは別の部屋で過ごす必要があるため、ケージ以外に隔離部屋の準備もしておきましょう。
ケージ内または隔離部屋に、寝床(ペットベッドやブランケットなど)・食器類(フードボウルやウォーターボウル)・フード・トイレがセッティングできたらオーケー。
先住猫との初対面も「ケージ」というワンクッションがあるだけで、喧嘩や威嚇などの大惨事となることを防げますし、多頭飼いにはケージがマストアイテムといえますね。
新入りお迎えから初対面までの流れ
さて、待ちに待った新入り猫を迎え入れて、いよいよ先住猫との初対面!
多頭飼いを失敗させないためにも、お迎え~初対面はスムーズにクリアしたいものですよね。
では、新入り猫のお迎えから先住猫との初対面までの流れをご紹介します。
新入り猫のお迎えから先住猫との初対面
いきなり先住猫と新入り猫を対面させることは、どちらの猫にとっても悪影響を与えます。
今後の関係性を良好なものにするためにも、下記の段階を踏まえ、自然なかたちで猫同士を対面させましょう。
新入り猫を迎え入れたら、1日目~3日目までは先住猫とは別の部屋に新入り猫を隔離しましょう。
隔離する部屋を別に設けられない場合は、新入り猫を入れたケージをブランケットやバスタオルなど大きめのファブリックで覆うことによって、間接的に距離を遠ざけることができます。
この段階では、まだ先住猫と対面させないことと、新入り猫の食事やトイレの世話をする以外は干渉し過ぎず、大人しく見守ることがポイントですよ。
新入り猫を迎え入れたら、4日目~19日目には先住猫と新入り猫の匂いを交換しましょう。
- 新入り猫の顔周りを触り、手に匂いをつける
- 匂いのついた手で、先住猫の体に触る
- この逆も行う
上記のように、本格的な対面をする前にお互いの匂いを交換し合うことでスムーズな対面となります。
匂いのついた手で触られることを拒んだら、それぞれの猫の匂いがついたブランケットなどのファブリックから交換してみるのがおすすめ。
また、匂いからお互いの情報を認識することができるため、ファブリックで覆われたケージ越しに対面させるのも◎です。
新入り猫を迎え入れたら、4日目~19日目にもなるとケージやキャリーバッグ越しでの対面が可能となります。
先住猫も新入り猫も、落ち着いた様子で食事を摂ったり、排泄ができるようになったら、新入り猫をケージやキャリーバッグに入れた状態で先住猫と対面させましょう。
1日に数分間からの対面を開始し、先住猫が嫌がる素振りを見せるようなら、決して無理強いしてまで対面させる必要はありません。
新入り猫を迎え入れたら、20日目~34日目には本格的に対面させることが可能です。
とはいえ、必ず飼い主の立ち会いのもとで対面させるようにし、先住猫と新入り猫の距離を無理して縮めようとするのは厳禁。
威嚇することがなければ、少しずつ対面の時間を延ばし、鼻と鼻をくっつけて挨拶する・同じ部屋で眠る・遊ぶといった様子が見られるようなら、飼い主が立ち会う必要もないでしょう。
先住猫と新入り猫の対面を順調に進めるためには、ゆっくりと焦らないことが大切ですね。
仲良くやってもらうポイント
せっかくの多頭飼いですから、猫同士で仲良くしてほしいもの。
ここでは、先住猫と新入り猫に仲良くやってもらうポイントを解説します。
何事も先住猫ファーストで
多頭飼いの猫が仲良くする最大のコツは、一番目に迎え入れた先住猫を優先的に扱うことです。
猫にとって、飼い主とは母猫のような存在であるため、飼い主が新入り猫に構ってばかりいると、先住猫は嫉妬から新入り猫に対して攻撃的になってしまうんですね。
したがって、名前を呼びかけるのも、頭を撫でるのも、食事を与えるのも全て先住猫からということを意識し、先住猫に疎外感を抱かせないような配慮を。
先住猫の構ってほしいサインを見逃さず、今まで以上のスキンシップで、何事も先住猫を優先する「先住猫ファースト」を心がけましょう。
一定の距離を保てるスペースも大切
多頭飼いの猫が仲良くするコツは、それぞれの猫たちが一定の距離を保てるようなスペースを提供することです。
寄り添い合っている仲の良い猫もいますが、それぞれの猫たちが良好な関係を築くためには、猫と猫のあいだには適度な距離感が必要。
平面的な空間を自由自在に行き来できる一戸建てなら問題ありませんが、賃貸住宅のように限られた空間しか用意できないというのであれば、縦の空間を有効に使いましょう。
キャットタワーを活用するのも良いですし、段差をつけて家具を配置するのも◎ですよ。
猫の多頭飼いの注意点
猫を多頭飼いするうえで、注意しなければならないこともあります。
ここでは、猫の多頭飼いにおける注意点を解説しますよ。
食事の管理
猫の多頭飼い時には、他の猫の餌を盗み食いしてしまうことを防ぐためにも、頭数分の食器を準備しましょう。
猫は✨隣の芝生は青く見える✨という考え方をしますので、全く同じ種類の餌を与えていたとしても、自分以外の猫の餌が気になってしまうものなんです。
年齢差があったり、健康状態によってはフードの種類が違うこともあるため、必ず食器は別にし、猫同士の距離を離しながら餌を与えるようにしてくださいね。
トイレの管理
猫の多頭飼い時には、縄張り争いを避けるためにも、必ず頭数分のトイレを準備しましょう。
猫は排泄物の匂いで縄張りを主張しようとするため、複数頭の猫がトイレを共有することで起こりかねない喧嘩を防ぐには、それぞれの猫にトイレを与える必要があります。
また、綺麗好きな猫は、少しでもトイレが汚れていると排泄を我慢したり、トイレ以外の場所に粗相することもあり得ますので、こまめなトイレ掃除も欠かせません。
頭数が増える=トイレの汚れるスピードも早くなるということではありますが、こまめなトイレのチェックは、愛猫たちの健康管理にもつながりますよ。
災害時の対策も忘れずに
猫の多頭飼い時に忘れてはいけないのは、万が一の災害時に備えて対策をしておくことです。
ペット用の避難グッズ(キャリーバッグ・ケージ・食料品・トイレ用品など)を備蓄するのはもちろん、どのようにして複数頭の猫と非難するか、複数頭の猫を受け入れてくれる避難所があるかどうかも調べておくと安心。
日本では、毎年のように自然災害が頻発するため、愛猫たちと落ち着いて避難できるように、日頃から万全な対策をしておきましょう。
まとめ
猫の多頭飼いを失敗させないコツをはじめ、性別や相性の注意点から準備しておくことまでお伝えしましたが、いかがでしたか?
「多頭飼い」という一種の猫社会では、猫たちのコミュニケーションを円滑なものにするためにも、猫がリラックスして過ごせる環境を目指す必要があります。
特に、新しく猫を迎え入れるというのは大きな環境の変化でもありますので、いつも以上にそれぞれの猫に対するこまやかな配慮が求められるでしょう。
ストレスフリーな多頭飼いライフで、先住猫も新入り猫も、全ての猫たちがハッピーな毎日を送れることを祈っています!