昨今ではペットショップに対する世間のイメージは比較的悪いものが多いのですが、ペットショップから家族を迎え入れることが100%悪いこととは言えません。
保健所の人慣れしていない猫を受け入れるのはとてもハードルが高いですし、里親さんから譲り受けるのもまた大変です。
中には、憧れの種類の猫ちゃんがいて、その子をどうしても家族にしたくてペットショップに足を運ぶ人もいるでしょう。
実際、わたしも昔から憧れていたアビシニアンという種類の猫を、「ペットショップから迎え入れるのは最初で最後」と心に決めて、今現在いっしょに生活している子がいます。
しかし、ペットショップ選びは慎重にならなくてはいけません。
飼い主初心者さんであれば、尚更「買って終わり」ではなく、その後もバックアップ体制がきちんとしているところを見極めて選ばなくてはいけません。
今回は、良いペットショップ、悪いペットショップの特徴を、元ペットショップ店員として伝えていきます。
これからペットショップから猫ちゃんを迎え入れたいと考えている人だけでなく、自分が常連として通えるような信頼できるペットショップも、今回の記事を参考に見つけていただけたら幸いです。
もくじ
信頼できる猫のペットショップの選び方
まずは、信頼できるペットショップの特徴と、選ぶ際の注意点を紹介していきます。
信頼できるペットショップの特徴
Point 1清潔感がある
清潔感があることは、ペットショップをやっていく上で基本中の基本です。
猫が入っているゲージ内が綺麗で、店員さんたちの制服にも目立った汚れがないなど、まず見た目の「清潔感」というのは「信頼できるかどうか」を判断する第一のチェックポイントとなります。
また、猫の爪は伸びていないか、毛が絡まって毛玉ができていないかどうかも、管理が行き届いているかを見る材料となるでしょう。
また、清潔感を決めるのは「汚れ」の有無だけではありません。
「ニオイ」にも注目してみてください。
猫がいれば少なからず動物臭がしますが、明らかに糞尿のニオイがしたり、すぐに感知できるほどの独特の動物臭がしたりすれば、そのペットショップは清潔感があるとは言えません。
Point 2常連さん以外にも丁寧に対応してくれる
猫を飼う上でわからないことがあったとき、あなたは誰に相談しますか?
病気や怪我のことなら獣医さんに聞けば教えてくれますが、飼育方法のことは病院では詳しく教えてくれるとは限りませんし、そもそも獣医さんには初歩的なことを聞きにくいという人もいます。
ネットで情報を探しても、自分が求めているものが見つからなかったり、情報不足だったりして歯がゆい思いをすることもあるでしょう。
そんなとき、普段フードやおもちゃを買っているペットショップで聞くという選択肢があります。
しかし、中には常連さんやそのペットショップで犬や猫を買った人達には丁寧で、そうでない人には適当な対応をするペットショップが世の中には残念ながらあります。
もし、信頼できるペットショップなら、たとえ常連でなくとも、初見のお客様からの質問や相談にも丁寧に答えるでしょう。
その時、ペットショップの回答できる範疇外の質問であれば、「専門外なので獣医さんに聞いてください」と伝えますが、それは正しい対応になります。
むしろ回答するべきでない質問に対しても適当な答えをする店員もいますから、そのあたりの見極めも大切です。
Point 3チェーン店である
チェーン店であるということは、少なからずそれだけやっていける資金があるということです。
また、チェーン店であれば、ひとつの店舗ではなかなか家族が決まらなかった猫ちゃんを、他の系列店に連れて行くことによってそこで家族が決まる、という可能性も高まります。
場所が変わり、見に来てくださるお客様が変わることによって家族が決まる猫ちゃんは実はとても多いんです。
ショップ側としても早く決まってほしいので、売れ残りをできるだけ出さないような対策やルールを設けています。
ちなみに、「売れ残ったら殺処分」というのは都市伝説に過ぎず、実際には行われてはいません。
ペットショップ選びの注意点
次に、最低限チェックすべきポイントを挙げます。
ひとつでもおかしな点があれば、そのペットショップから猫を迎え入れるのはオススメしません。
Check1ワクチン接種をしているか確認する
猫ちゃんを家族に迎え入れる前にまず確認してほしいのは、ワクチン接種をしていることが明らかになっているかどうかです。
どれだけ清潔感のあるペットショップだとしても、ワクチン接種を受けさせていないなんて言語道断。
また、受けさせていたとしても「いつ」「何種の」ワクチンを受けているのか、しっかり管理ができているかもポイントです。
普通は猫ちゃんを買うことに決めたら、それまでのワクチン代も請求されるはずなので、そのときにきちんと「ワクチン接種証明書」をもらうはずなので、よく確認してください。
Check2歯列異常や尾曲がりについて説明があるか
「歯列異常」というとピンとこないかも知れませんが、上顎と下顎がしっかり噛み合っておらず、とくに下顎が前にズレて出ている場合は「しゃくれ」と一般的に呼ばれる異常です。
また、尾曲がりは聞いたことがある人が多いでしょうし、実際にそのような猫ちゃんを飼っている人もいるかと思いますが、尻尾の先端が曲がってしまっている状態で、「鍵しっぽ」とも呼ばれています。
歯列異常や尾曲がりを持つ猫が普通に生きていく上でとくに支障をきたすことは少ないのですが、見栄えが悪いという理由でペットショップに並ぶことは通常はあまりありません。
しかし、そのような猫ちゃんを販売しているペットショップもまれに存在します。
歯列異常や尾曲がりの猫を扱うこと自体は問題ではありませんが、「この子しゃくれてない?」と言われたときに「そんなことありませんよ」とか「チャームポイントです」と言って誤魔化すペットショップはいけません。
しっかりと説明した上で、お客様にそれをチャームポイントだとポジティブに捉えていただき、同意と理解を得て家族に迎えてもらうようにするのが良いペットショップの対応です。
また、歯列異常はそのズレが大きければフードをなどを食べる際に上手く食べきれず、生活に支障きたすレベルの子もいます。
それを隠すことも絶対にしてはいけないことです。
良いペットショップと悪いペットショップの見分け方
次に、良いペットショップと悪いペットショップの見分け方、見極め方についてケース別にご紹介します。
お客様に「おすすめの動物病院はどこですか?」と聞かれたときの店員の受け答えでショップの良し悪しが分かります。
おすすめの病院を教えない
おすすめの病院を気軽に教える
あれ?良い例と悪い例が逆じゃ・・?と、あなたも思ったのではないでしょうか。
実はこれで合っているのです。
商品の良し悪しを言うのは当たり前ですが、他のお店や商品ではなくメーカー自体の評判、ましてや動物病院の評判なんてペラペラ喋るのはマナー違反です。
悪く言うのはもちろん良くありませんが、逆に特定の動物病院を褒めても贔屓だと思われることもあります。
例外として、中には信頼している常連さんにだけコッソリ教えてくれるケースもあります。
また、表立って提携している動物病院があるペットショップも存在するので、その場合はやはりその動物病院をすすめるでしょうが、これも一概に良い、悪いとは言えません。
良くない対応といえるポイントは、「誰にでもペラペラと」「提携しているわけでもない動物病院の情報を」教えてしまうかどうかです。
小まめにゲージのチェックをしていても、糞尿の片付け忘れなど見落としていることや気付かないことがどうしてもあります。
仮に、それをお客様から「あの猫ちゃん、おしっこしてるよ」と教えていただいた時の対応によっても、ショップの良し悪しが現れます。
指摘に対してお礼を言ってすぐに対応する。
生返事だけして放置したり、教えてもらったことに対して無愛想。
見落としていることを教えていただけるというのは、とてもありがたいことです。
それをないがしろにするのは、どう考えてもあまり良いショップとはいえません。
よくペットショップで見かける光景ですが、小さな子供がはしゃいでガラスを叩いていたり、「かわいい〜」と言いながら写真を撮っている方がいますよね。
こういった時の店員の対応でも、動物を扱うことにに対する考え方がしっかりしているかどうかが分かります。
注意をする。
見て見ぬフリをする。
小さな子供がガラスを叩いたり、たくさんの人達に写真を撮られたりすれば、猫にはストレスが溜まっていきます。
それを見て見ぬフリをするのはあまり動物に配慮しているとは言えないでしょう。
また、子供は一度言っただけでは聞かないこともあります。
そんなときも諦めずしっかりと注意をすべきです。
もちろん一番良いのはその子供の保護者がしっかりと注意したり叱ったりすることですが、そうもいかないのが今の世の中です・・。
もしあなたが小さな子供を連れてペットショップに行くときは、しっかりと注意してあげてください。
また、断りなく勝手に写真を撮るのは猫にストレスを与えるだけでなく、マナー違反になります。
もしあなたが家族に迎え入れたい猫ちゃんを見つけて、その子を自分の家族に見せて相談したいから写真を撮りたい、というのであれば店員にその旨を伝えてください。
ほとんどの店員は、そういうことであれば快く写真を撮ることを許可してくれますし、中にはゲージから猫ちゃんを出して、より良い写真を撮れるようにしてくれることもありますよ。
お客様から猫を抱っこさせて欲しい、触らせて欲しいと言われた時の店員の対応を見ます。
相手を見て断る。
誰でも構わず承諾。
こちらも一見、断るほうが愛想がなくて嫌な感じがするかも知れませんが、考えてみてください。
あなたが「この子を家族にしたい!」と思う猫ちゃんが、誰彼構わず抱っこされていたらどう思うでしょうか?
それも、動物の扱いをよくわかっていなさそうな人に無造作に抱っこされていたら・・・。
良いペットショップは、「不特定多数の相手と接触させない」ことを心がけています。
ペットショップは、動物触れ合いコーナーではありません。
家族に迎え入れたいから抱っこをしてみて相性をみたい、というのであればこれまた基本的には快諾されるはずです。
飼う気もないのに無闇やたらと触らせてほしい、抱っこさせてほしいと言ったりするのはマナー違反になります。
まとめ
なんとなく予想のつくチェックポイントや、無意識にチェックしていたポイントもいくつかあったかと思いますが、いかがでしたか?
良い例と悪い例に関しては、意外に思われることも多かったのではないでしょうか。
ただ、一番注目すべきポイントは、やはり店員の対応かと思います。
同じ人間ですから、その人間である店員が話が通じないようであれば、猫を選ぶ以前の問題です。
まずは、親身になって丁寧に対応してくれる店員さんと仲良くなってください。
ただし、店員さんの人間性に流されて安易に猫ちゃんを迎え入れることのないように、そこからしっかりと他の点も見極めていってくださいね。
「買って終わり」ではありません。
それを忘れないようにしましょう。
【編集:MOTTO CAT運営スタッフ】