大きな耳に小さな頭、そして、全身がヒョウ柄の模様をした「サーバルキャット」という動物をご存知ですか?
すらりとしたスレンダーな体型から「サバンナのスーパーモデル」と称され、美し過ぎるネコ科の一種として巷で評判になっているサーバルキャットは、顔立ちだけを見ていると猫のようですが、れっきとした肉食獣でもあります。
肉食獣からは獰猛なイメージが漂いますが、そんなサーバルキャットをペットとして飼育することは可能なのか、他にも気になる疑問がいっぱいですよね。
この野性的なサーバルキャットが気になっているあなたに、値段や寿命、性格から飼い方まで、猫と名のつくものには目がないキャットフリークライターがご紹介します。
もくじ
サーバルキャットの特徴
生態
サーバルキャットは、主にアフリカ大陸を中心に分布するネコ科の動物で、アルジェリアの北部やモロッコ、サハラ砂漠以南のアフリカ大陸にも分布しているヤマネコの一種です。
高さのある草木が生えている草原をはじめ、川辺周辺の茂みや草むら、湿地帯などを好んで様々なところに生息しており(砂漠地帯と熱帯雨林を除く)、普段は単独で生活しています。
基本的に夜行性ですが、気温があまり上昇しない時などは、日中でも積極的に活動します。
ねこ
体長・体重
サーバルキャットの体のサイズはそれぞれ以下のとおりです。
- 体長:約70~100cm
- 体高:約54~62cm
- 尾長:約25~45cm
- 体重:約9~18kg
すらりとした細い体躯と、モデルのように長く伸びた四肢で、全体的にスタイリッシュな雰囲気を醸し出しているサーバルキャット。
猫より大きく、ヒョウやチーターより小さいといったサイズで、サーバルキャットが後足で立ち上がると、人間の子供の身長をも軽く追い越すほどの大きさをしています。
大きな耳
サーバルキャットの小さな頭部には、ひときわ目を引く大きな耳が生えています。
数あるネコ科の動物の中でもダントツで耳が大きいサーバルキャットは、先端が丸く、左右の間は非常に狭いという特徴のある耳の形をしています。
土の中にいる小動物の音さえも感知できる素晴らしい聴力を持つため、狩りを得意とするサーバルキャットですが、風の強い日などは雑音に邪魔され、狩りができないという説もあります。
被毛・毛色
サーバルキャットの被毛は短毛で柔らかく、毛色のバリエーションも豊富ですが、一般的な毛色は黄色か黄褐色で、腹部や四肢の内側などは白っぽくなっています。
また、サーバルキャットの全身にはくっきりとした黒い斑点が広がっており、頸部や肩から肘にかけての斑点はライン状で、尾の先にいくにつれて黒いリング状の斑点となります。
ヒョウ柄のイメージが強いサーバルキャットですが、全身が真っ黒(または真っ白)である個体も稀に見られ、アフリカ大陸の西部に生息する個体は通常より斑点が小さく、毛色も濃いことが多いです。
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サーバルキャットの寿命
サーバルキャットの寿命は、
- 野生の場合:約10~12年程度
- 動物園での飼育やペットとして飼育した場合:約15~20年程度
となっています。
「札幌市円山動物園」で飼育されていたサーバルキャットのポッキー(オス)は、日本国内では最高齢となる推定24歳まで生きたといわれており、過酷な野生ではなく、快適な環境の下で飼育すると、平均寿命を遥かに上回ることがうかがえます。
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サーバルキャットの性格
特徴的な3つの性格
サーバルキャットの主な性格はこの3つです。
- 凶暴性が強い
- 甘えん坊
- 利口で忠実
凶暴性が強い
肉食獣が持つ大きな性質のひとつに、「凶暴性」というものが挙げられます。
愛らしい顔立ちとは裏腹に、肉食獣であるサーバルキャットにもまた凶暴性が備わっており、自分より体のサイズが大きい犬ですら倒すことのできる獰猛な性格をしています。
サーバルキャットのその荒々しさは、日本の法律に基づいた「特定動物」に指定されているほどです。
イエネコのように甘えん坊
サーバルキャットは、サバンナで生きる野生の肉食獣らしく、本来は、警戒心が強い性格で、ハンターとしての能力も高い動物です。
そのため、成獣のサーバルキャットが人間に懐くことはありませんが、サーバルキャットが幼獣の内から人間に慣れさせることができれば、大変よく懐くといわれています。
人間に慣れたサーバルキャットは、スリスリと体を擦りつけながら喉を鳴らすこともあり、まるでイエネコと変わらない姿で甘えますよ。
利口で忠実
野生では獰猛といわれているサーバルキャットですが、生後1週間を過ぎたころから徐々に人間に慣れさせることで、まるで人懐こい犬のようになります。
訓練されたサーバルキャットはとても利口で、「おすわり」や「お手」などの命令もこなすことができ、自分の名前を呼ばれると主人の元へ駆け寄るといった、忠実な一面を見せます。
普通の猫より物覚えがいいサーバルキャットは、お手入れすることは怖くないものだと教えれば、爪切りにも応じてくれます。
個体によって性格は様々
野生で暮らす動物として、基本的に自由であるサーバルキャットは、生まれ育つ過程によっても性格に違いが生じます。
サーバルキャットの中には、人工保育なのにどうしても人間には慣れない性格をした個体や、犬のように人懐こい性格をした個体もいます。
甘えん坊なサーバルキャットとはコミュニケーションを図ることができますが、人工保育でも懐かなかったサーバルキャットが心を開くことはありません。
比較的に、動物園やブリーダーといった、生まれた時から人間の手で育てられているサーバルキャットは、ペットとして飼育しやすいことがほとんどでしょう。
そんな魅力的なサーバルキャットですが、そもそもペットとして飼育すること自体は可能なのでしょうか?
サーバルキャットはペットとして飼育可能?
結論からいうと、許可さえあればサーバルキャットの飼育は可能です。
サーバルキャットは、日本の特定動物に指定されている猛獣ですが、特定の条件を満たせば、ペットとして飼育することが可能です。
まず、特定動物であるサーバルキャットを飼育するにあたって、所在地の都道府県知事の許可が必要となります。
飼育許可の条件は以下のとおりです。
- 一定の基準を満たした「おり型施設」などでの飼養保管
- 逸走を防止できる構造および強度を確保すること
- 定期的な施設の点検を実施しなければならない
- 第三者の接触を防止する措置をとらなければならない
- 特定動物を飼養している旨の標識を掲示すること
- 施設外での飼養は禁止
- マイクロチップによる個体識別措置をとること
繰り返しますが、サーバルキャットは、ペットショップなどで販売している動物とは違い、家庭で飼育するには大変な危険が伴う猛獣です。
飼育許可が認められない場合、飼育することはできないので、注意しましょう。
サーバルキャットの値段は?
高級なペットというイメージが強いサーバルキャット。
どれくらいの金額で入手できるのか、気になる価格もチェックしていきましょう。
子猫の価格相場
サーバルキャットの子猫をお迎えする場合、子猫の販売価格は120万円~が相場です。
珍しい動物がゆえ、ペットショップなどでの流通が行われておらず、数少ない経路から購入しなければならないので、非常に高額な価格に設定されています。
近年では、メディアなどでサーバルキャットの存在が紹介されることが多く、日ごとに注目を集めてきており、以前よりも子猫の販売価格は高額になりやすい傾向です。
ペットとしての人気も高まりとともに価格も高騰し、200万円以上の価格で販売されることもあります。
さらに、サーバルキャット自体の価格だけはなく、飼育環境を整えるための費用、毎月の餌代なども含め、サーバルキャットを飼育する費用は非常に大きな金額となります。
サーバルキャットをお迎えするために必要な金額を総合的に考えて、経済的にかなり余裕がある場合にしか飼えない動物ともいえるでしょう。
購入先によって価格は異なる
ただし、購入先によって大きく価格が異なる場合もあります。
サーバルキャットの子猫を、国内のブリーダーから購入する場合と、海外のブリーダーから取り寄せる場合では、価格に大きな差が生じます。
海外のブリーダーから取り寄せる場合、運送運搬費および交通費などの様々な費用が加算されるので、国内で購入するより高額になることも少なくありません。
ちなみに、現地のブリーダーと交渉して、アメリカから取り寄せることは可能ですよ。
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サーバルキャットの飼い方
サーバルキャットの飼い方のポイントはこの5つです。
- 環境づくり
- 食事
- 寝床
- トイレ
- しつけ
環境づくりのポイント
特大のケージで飼育する
特定動物であるサーバルキャットをペットとして飼育するには、動物園のような設備が整った環境が必要となります。
約100cmもの体長があるサーバルキャットは大型の猫種なので、大きなケージを使用した広大な飼育スペースを作ってあげましょう。
放し飼いができないサーバルキャットの飼育には、大きなケージを準備することが重要となりますが、大型犬用のケージでも小さい可能性があるため、専門店などで特大のケージを選んでくださいね。
自宅全体の設備を整える
ペットといえど、ケージの中で飼育することが大前提のサーバルキャット。
ケージで飼育するにしても、その前に自宅全体の設備を整えなければなりません。
ドアや窓から脱走させないためには、脱走防止の頑丈な柵を取り付け、窓のガラスを破られることがないように、強化ガラスを張るなどの対策をしておきましょう。
簡単に庭から逃げ出さないようにするには、門や塀も高くしなければならず、サーバルキャットを飼育するにあたって、自宅全体から変えていく準備が必要であるといえます。
移動用のケージも準備しよう
屋外での散歩などは禁止されているサーバルキャットは、どこかへ移動する際も、もちろんケージ(ペットキャリー)に入れた状態での移動となります。
これは、家庭での飼育で使用するケージとは別のケージです。
サーバルキャットをペットとして飼育する場合、病気や怪我などで動物病院へ連れて行かなければならない事態も考慮し、移動用の大型ケージも準備しておくと安心です。
サーバルキャットは珍しい動物なので、全ての動物病院で診察が可能とは限りません。
診察に必要な費用も通常とは異なるため、自宅から通える範囲の動物病院が、サーバルキャットを診察できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
食事のポイント
サーバルキャットをペットとして飼育するうえで、サーバルキャットにはどのように食事を与えればいいのか、気になるところではないでしょうか。
食事を与える際に気をつけたい重要なポイントは、たとえば朝と夜に2回など、時間と回数を守って与えることです。
空腹のサーバルキャットは飢えた肉食獣と同じなので、お腹を空かせてから食事を与えるという規則性がない方法では、手に負えないほど凶暴に育つ危険性があります。
サーバルキャットはとても賢いので、決められた食事の時間はきちんと覚えることができます。
サーバルキャットの食事には、サーバルキャット専用の缶詰や、新鮮な生肉(加熱した肉からは栄養素が摂取できないため)を与えましょう。
寝床のポイント
本来は野生動物であるサーバルキャットに、あまり上質な寝床を準備する必要はありません。
しかしながら、なるべく快適な空間で暮らしてもらうためにも、大きな体がすっぽりと収まる箱や、毛布を重ねたものを、寝床としてケージ内に作ってあげましょう。
サーバルキャットの中には、床の上にそのまま寝ていても気にならない個体もいるので、それぞれの好みで寝床をチョイスしましょう。
サーバルキャットは寒さに弱いので、特に冬場は室内を暖かく保ってくださいね。
トイレのポイント
サーバルキャットにはマーキングをする習性がありますが、トイレは普通の猫と同じようにしつけることができます。
トイレ以外の場所でマーキングをしてしまう場合もありますが、ペットシーツを何枚も敷いたスペースをケージ内に作り、こまめに掃除することで、じゅうぶん対処できるといえます。
初めにトイレのしつけをしておけば、大きな失敗をすることもないでしょう。
しつけのポイント
サーバルキャットの飼育には、しっかりとしたしつけを行うことも大切なポイントです。
物覚えがいいサーバルキャットは、いたずらをした時や、トイレの粗相をした時などに、特にしっかりと言い聞かせれば、やってはいけないことだと覚えます。
「いい子」にできたら、たっぷりと褒めてあげましょう。
しつけによって、サーバルキャットはあらゆる芸も覚えられますよ。
日頃からストレスを発散させることで、いたずらの防止にも繋がります。
頑丈な猫じゃらしや、思いきり噛んでも壊れない犬用のおもちゃなどで、運動が大好きなサーバルキャットと一緒に遊んであげてくださいね。
まとめ
サーバルキャットの特徴や飼育の仕方についてお届けしましたが、いかがでしたか?
近年、日本では高級なペットとして取り扱われているサーバルキャット。
あの惚れ惚れとする美しい姿を眺めていると、サーバルキャットをペットにしたい気持ちが溢れてきますよね。
野生では獰猛な肉食獣のため、ペットにするにはハードルが高いイメージがありますが、特殊な動物でも決められた条件を満たすことによって飼育することは可能です。
ルールを守り、サーバルキャットを飼育するに適した環境であるかどうかという点を踏まえたうえで、憧れのサーバルキャットを家族にお迎えしてくださいね!