複数頭の猫で摂り合う食事の光景は何とも微笑ましいものですが、実際には気を遣うことも多く、「可愛らしいなぁ」と眺めているだけでは済みませんよね。
ことさら、何匹もの猫たちと暮らしていると、年齢も嗜好も猫によって異なることがほとんどで、食事面での管理も一苦労ではないでしょうか。
- 個別に餌を分けるべき?
- 他の猫の餌を横取りしてしまう!
このように、多頭飼いをしている猫には、どのようにして餌を与えるのがベストなのか、どうしたら与えた餌のみを食べてくれるのか、頭を悩ませることも多いでしょう。
そこで、この記事では、猫を多頭飼いする際の正しい餌の与え方をはじめ、餌の横取り防止や分け方まで、詳しくご紹介していきます。
常に複数頭の猫に囲まれながら暮らしている筆者が、愛猫たちの体験談を交えつつ、多頭飼いの食事面ついての疑問を徹底的に解説しますよ!
もくじ
多頭飼い猫の餌は分けるべき?
多頭飼いの猫の餌は分けるべきなのかと問われたら、答えは「分けるべき!」です。
何となくフードボウルを分けて与えなければならないイメージはあるものの、どうして分ける必要があるのでしょうか?
主な理由は下記のとおりです。
- 個体の年齢によって餌の種類が違うため
- 個体の健康状態によって餌の種類が違うため
- 1日の摂取カロリーを正確に把握するため
それでは、それぞれ具体的に解説しましょう。
年齢に合わせた餌を与えるため
多頭飼いをしている猫の個体によっては、年齢が異なることが多いため、それぞれの年齢に合わせた餌を与える必要があります。
- 子猫:離乳~生後12ヶ月ごろまで
- 成猫:1歳~7歳ごろまで
- 高齢猫:7歳~12歳以降
上記のように、猫の餌の種類は年齢別となっており、年齢ごとに与える餌の種類が変わります。
子猫と成猫では摂取したい栄養素がまるで違いますし、高齢猫には、高齢になるにつれて衰えていく体に働きかけるような餌に切り替えたりと、その時々の年齢に沿って分けたいところ。
保護猫のようにはっきりとした年齢が判明しない猫でも、動物病院などで尋ねると教えてくれますので、猫の年齢に適した餌を個別に与えるようにしましょうね。
以前、保護した猫の年齢を「何ヶ月くらいの子猫ですか?」と獣医師に尋ねたことがありますが、「いやぁ、かなりのおばあちゃんですよ。しかも、ロシアンブルーです。」と言われ、ダブルで仰天しました。見た目が小さいからといえどシニア猫の可能性は大。年齢に適したフードを与えることによって、栄養失調で小さかった体も大きくなり、長生きしてくれましたよ。
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健康状態に合わせた餌を与えるため
多頭飼いをしている猫の個体によっては、健康状態も異なることがあるので、それぞれの健康状態に合わせた餌を与える必要があるでしょう。
食物アレルギーを保有している猫や、特定の疾患に対応している療法食しか食べられない猫に、健康な猫と同じ餌を与えては命の危険すらあります。
また、下痢や嘔吐を繰り返す場合も、餌が体質に合っていない可能性が考えられますので、体調に合わせた餌を個別に与えてあげてくださいね。
カロリーを正確に把握するため
多頭飼いをしている場合、必ず猫の頭数分のフードボウルを用意し、それぞれの猫に適した分量の餌を分けて与える必要があります。
なぜなら、たとえ同じ種類の餌を食べていたとしても、食べる分量・スピードなどが個体ごとに異なるため、ひとつのフードボウルで餌を与えてしまうと、餌を独り占めしてしまう猫や、なかなか餌にありつけない猫など摂取カロリーに偏りができ、栄養過多になったり、逆に栄養不足を引き起こしてしまうことがあるからです。
また、去勢・避妊手術をした猫は、ホルモンバランスの変化などによって、これまでよりも食欲が増す傾向にあるので、肥満のリスクが高くなってしまうことも。
それらを考慮して、一匹ずつのライフスタイルに適した分量・カロリーをコントロールするためにも、餌は個別に分けることが大切ですね。
他の猫に餌を横取りされるのを防ぐ方法
猫は、自分の分の餌が与えられているにもかかわらず、自分以外の猫が食べている餌が気になるといいます。
まさに✨隣の芝生は青く見える✨状態で、全く同じ種類の餌だとしても、目の前にある餌よりも美味しそうに見えてしまうため、ついつい横取りしてしまう・・・という結果に。
そうならないためにも、他の猫に餌を横取りされるのを防ぐ方法を解説しましょう。
食事の場所を別にする
- 部屋を分ける
- 部屋の四隅を利用する
- ケージ内とケージ外に分ける
- パーテーションなどで仕切りを作る
部屋を分ける
他の猫の餌が視界に入ることのないように、餌を与える部屋を別々に分けましょう。
フードボウルを横並びに設置したり、猫同士で餌を食べる距離が近いと、どうしても横取りにつながってしまうため、餌を食べる場所を物理的に離してしまうことが、横取りを防ぐには最適です。
1階と2階、リビングとキッチンなど、別々の部屋で餌を与えるのがおすすめですよ。
部屋の四隅を利用する
端と端にフードボウルを設置するなど、部屋の四隅を利用し、餌を与える場所を分けましょう。
猫の頭数が増えると、別々の部屋で餌を与えるのもハードルが高いかと思いますので、部屋の四隅にそれぞれのフードボウルを離して設置するのが、お手軽で◎。
部屋数があれば、猫の頭数だけ部屋を分けるのがベストではありますが、猫同士のフードボウルを端と端に離すだけでも横取りは防げますので、試してみてくださいね。
ケージ内とケージ外に分ける
ケージ内で餌を与える猫と、ケージ外で餌を与える猫に分けてみましょう。
「ケージ内での食事なんて、まるでペットショップのようでは?」と思いがちですが、狭いスペースを好む猫にとって、ケージ内はゆっくりと落ち着ける場所でもあるため、横取りの心配もなく、安心して食事することができるんです。
また、日頃からケージを使用することに少しでも慣らしておくと、災害時などのいざという時でもスムーズにケージ内へと誘導できますよ。
我が家の場合も、先住猫のチビ・♂をケージ外で、あとから迎えたレイ・♀をケージ内でと、餌を与える場所を別々にしています。お気に入りのフードを見せれば、すんなりとケージへ入っていきますよ。食べ終えたら、そのまま眠ってしまうこともしばしば。リラックスできるスペースでもあるようです。
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パーテーションなどで仕切りを作る
パーテーションや柵などを使用して、猫と猫のあいだに仕切りを作りましょう。
美味しそうに食べている他の猫の餌が気になり、ついつい横取りしてしまいがちですが、猫同士のあいだに仕切りを作ることで、簡単には横取りできなくなります。
仕切りで視界を遮ってしまえば、フードボウルを横並びに設置することも可能ですよ。
食べ残しは片付ける
猫は、狩りで仕留めた獲物を少しずつ食べるという野生の本能を残しているため、餌を食べ残すことが多い動物ですが、食べ残した餌はこまめに片付けましょう。
一気に完食してしまう猫も見かけますが、ほとんどの猫はほんの少しだけ残したり、食べては去り、また戻ってきては食べ・・・を繰り返すので、そうこうしているうちに他の猫に横取りされてしまうんですね。
また、フードは空気に触れると同時に酸化することから、フードの酸化を防ぐためにも、食べ残した餌は思いきって片付けてしまうのがベター。
1日の摂取カロリーを守れば、食べきれる分量だけ複数回に分けて与えても良いですよ。
我が家の場合も、チビ・♂の餌を置きっ放しにしておくと、レイ・♀が食べてしまうことがあります。歴代の愛猫たちは、フードボウルを横並びにしていても横取りしなかったのですが、レイを迎えてからは、チビが食べ終えたのを見計らい、片付けるようにしています。蓋付きのフードボウルも便利ですよ!
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名前を呼びかけながら与える
猫の餌の時間には一匹ずつ名前を呼びかけ、「誰の餌なのか?」を認識させてから与えましょう。
上下関係の発生する猫社会のなかで、呼びかけもせずに餌を与えてしまっては、誰の餌なのかが分からなくなってしまい、必然的に優位なポジションにある猫が、劣位なポジションである猫の餌を横取りしかねません。
そのため、「これは、〇〇ちゃんのご飯だよ」と呼びかけることによって、どの餌が誰の餌かが猫の目にも明確になるため、横取りの防止につながりますよ。
多頭飼いしている環境では、名前を強調して餌を与えるのがポイントでしょう。
猫が餌を横取りしてしまう場合は、名前を呼びながら大きな声で叱りましょう。
時間が経ってから叱っても、何が原因で叱られたかを理解できないため、横取りを確認した瞬間に叱ることが大切です。
満足感を得られるフードを与える
猫を多頭飼いしていれば、どうしても他の猫の餌を横取りするなどのトラブルが発生しがちですが、満足感を得られるフードを与えるだけでも問題が解決されることがあります。
一気に食べてしまう、いわゆる早食いをする猫は、食事による満腹感を得られ難いがため、他の猫の餌までも横取りしてしまうんですね。
数あるフードの種類のなかでも、満腹感を得やすいタイプのフードを選び、餌を横取りする猫だけに与えるようにすると、満腹感をサポートしてくれ、ダイエットにもなって一石二鳥ですよ。
個体認識型自動給餌器を使用する
猫同士を物理的に離すのが難しい場合は、本体に登録した個体を認識して作動するシステムが搭載された自動給餌器を活用してみるのもおすすめ。
あらかじめ猫の体に装着しているマイクロチップか、首輪に装着できる専用のタグを登録しておくことで、個体を認識したセンサーが反応し、自動的に容器の蓋が開閉する次世代型のフードボウルがあるんです!
どうしても横取りしてしまう猫に手を焼いていても、これなら登録している特定の猫のみに餌を与えられるので、かなりのお役立ちアイテムとなること間違いなしですね。
猫の多頭飼い時の正しい餌のやり方
猫を多頭飼いするうえで、どのようにして餌を与えるのが正しいといえるのでしょうか。
餌を分けるべきなのか、横取りを防ぐためにはどうするべきなのかを解説しましたが、他にも押さえておきたい正しい餌の与え方を解説します。
餌を与えるのは先住猫から
多頭飼いしている環境のもとでは、先住猫から優先的に餌を与えましょう。
飄々としたイメージの強い猫ですが、猫にも嫉妬心はあるので、あとから迎えた猫を優先的に扱っては、問題行動の原因にもつながりますし、最悪の場合は家出してしまうことも。
複数頭の猫を同時に迎えたなら気にしなくても構いませんが、既に先住猫が暮らしている状態であれば、先住猫から一番に餌を与えるようにし、変わらない愛情を示してあげてくださいね。
重要なのは見守ること
多頭飼いしていると、自由気ままに振る舞う猫に任せているだけでは把握しきれない行動もあるため、飼い主が見守るということが重要です。
他の猫の餌を横取りする猫、自分の餌を横取りされる猫、一気に食べてしまう猫、食べ残しをする猫・・・と、食事のペースも猫によって様々であることから、食事の光景を見守るのも、飼い主としての役目といえるでしょう。
我が家の愛猫たち、チビ(黒猫・♂)とレイ(ロシアンブルー・♀)の場合も、食事中は横取りしませんが、チビの食べ残した餌をレイが食べてしまうことがあるため、横並びでの食事では気を配らなければなりません。
日々の見守りを欠かさないとなると労力も感じるかと思いますが、それぞれの猫のためにも、正しく食事が摂れているかどうかを見守ってあげてくださいね。
\自分の分け前を食べてる時は夢中だけど・・・/
\食べ終わったら✨隣の芝✨が気になるw/
まとめ
猫を多頭飼いする際の正しい餌の与え方をはじめ、餌の横取り防止や分け方までをお伝えしましたが、いかがでしたか?
「多頭飼い」という一種の猫社会のなかでは、優位な立場にある猫が、劣位の立場である猫の餌を奪ってしまうことは日常茶飯事でしょう。
野生動物であれば、そんな過酷なヒエラルキーに従わざるを得ないのでしょうが、人間と暮らす猫たちに関しては、平等にお腹をいっぱいにしてもらいたいものですね。
健康のためにも、食いしん坊なボス猫には目を光らせ、しっかりと愛猫たちの食事を管理してあげてくださいね!